移住者を増やす――。2013年、これが高知県がキャンペーンを始めた目的である。電通 澤田智洋さんは、「高知家」という言葉を立て、そのフレームの中で動画を制作している。
「高知家」というインフラをつくる
「移住を考える人は就労や子育ての環境を気にする。さらに調べると、移住者がもう一つ気にするのは近所に住む人たち。移住後に周囲とうまくいくかどうかが、実は移住を決める際の大きなポイントになっていました」と、電通 澤田智洋さんは話す。
リサーチを進める中で、澤田さんはここに移住者を増やす活路を見出した。高知は南国の温暖な気候とお遍路の風習から、「人生で出会った人は大切にしなさい」という精神が根付いている土地。「高知には飲み屋で知り合った人を結婚式に呼ぶ習慣があります。僕も高知に行ったとき1人で飲んでいたのに、気がついたら5人になっていた、ということがありました(笑)。まさにリアルSNSのような土地です」。同じ場所にいるだけで知らない人がどんどん繋がっていく――この実体験を通して、澤田さんが提案したのが、「高知家」というキャッチフレーズ。この言葉をベースに、キャンペーンのインフラをつくりあげた。
「高知家」のコンセプトは、高知県を1つの家族に見立てること。キャンペーン開始時に、“家族の自慢の娘”広末涼子さんが「高知家」の表札をもち …