日本酒の通販サイト「KURAND」では、変わったネーミングのお酒を多数取り扱っている。実はこれらのお酒は、蔵元と共同で商品開発に取り組んだものだ。このユニークなネーミングがどこから生まれたのかを聞いた。
酒を売る犬 酒を造る猫(宝山酒造)

次期5代目蔵元の渡邉桂太さんが「酒を造る猫」に、営業の若松秀徳さんが「酒を売る犬」となってラベルに描かれている。宝山酒造に看板猫がいたことから猫のキャラクターが生まれ、若松さんは人懐っこくて犬に似ていると言われることから犬として登場している。
ぼくとオカン 純米吟醸
「なにごとも本気でやれ」。それがぼくのオカンの口癖だった。子どもの頃、友達と遊びたくて勉強をサボると、遊びも勉強も本気でやれと叱られた。そんなことを言われる度に、オカンの生き方を押し付けられているようで、ぼくは少し嫌だった。職人仕事も家事も子育ても、オカンは本気でやっていた。米洗いや麹造り、槽搾りの袋積みも、驚くほどに丁寧だ。酒造りの職人として、変化する時代の中で蔵の味やこだわりを失わないように、オカンは本気で戦ったのだ。いつの間にかオカンの口癖はぼくの心に息づいている。なにごとも本気でやれ。ぼくだって、負けていられない。旭鶴 次期8代目当主、処女作によせて(旭鶴)

合計293文字の、日本一長い銘柄の日本酒。旭鶴は千葉県佐倉市にある家族経営の小さな酒蔵。女性蔵元杜氏であり母でもある田中素子さんの酒造りを引き継ぎ、息子の田中淳平さんが初めて杜氏として醸した。そのネーミングには、母への思いが入れ込まれている。「日本一長い銘柄名」「もはや読み物」などとネット上でも話題になった。
鈴木(寒梅酒造)

鈴木さんの鈴木さんによる鈴木さんのための日本酒。若き醸造家のホープ鈴木隆広さんが、人生初めて採用する技法を用いた酒造りに挑戦した日本酒。クラウドファンディング Makuakeを使ったところ、プロジェクト支援者の約6割は「鈴木さん」だった。ラベルも書家の鈴木猛利さんが書いている。
日本全国の蔵元のストーリーを商品に乗せて届ける
今年2月「蔵元のかわいすぎる日本酒」として、あるお酒がネット上で話題になった。その名は「酒を売る犬 酒を造る猫」。ラベルは、ポップな猫と犬のイラスト。それぞれ、製造元である宝山酒造の次期5代目の渡邉桂太さんと営業の若松秀徳さんの2人がモチーフになっているという。猫のキャラクターは、同社の“看板猫”がヒントとなり、犬は営業の若松さんが人なつっこいから…など、このデザインには同社のさまざまなストーリーが詰まっている。
日本酒定期購入サイト「KURAND CLUB」では、商品ページでこうした開発の背景にあるストーリーを紹介。SNSやメディアで取り上げられる際も、こうしたエピソードが裏話として引用され、一緒に広がっていった ...