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デザイン経営時代 進化するインハウスクリエイター

インハウスデザイナーの力を最大化する組織改革

パナソニックは、これまで大阪および滋賀に分散していた社内カンパニー アプライアン社 デザインセンターの拠点を京都に一本化し、「Panasonic Design Kyoto」として2018年4月から稼働を開始した。そして、デザイン統括部(通称FLUX:フラックス)を新設。その代表を、ロンドンオフィスを拠点に、京都、東京で活動する池田武央さんが務めることになった。

池田武央(いけだ・たけひろ)
パナソニック アプライアンス社 デザインセンター/デザイン統括部(FLUX)クリエイティブディレクター。ヘルシンキのアールト大学にて、ストラテジーデザイン修士を取得後、英国のクリエイティブコンサルティングファーム「シーモアパウエル」に入社。2018年までの11年間、ユニリーバ、ギネス、サムソン、デンソー、日立製作所、三菱電機といったグローバル企業に対する、デザインストラテジー立案、ブランドビジョン立案、プロダクトイノベーション提案といった幅広いプロジェクトに従事。2018年4月より現職。

課題は「流動化」と「多様化」

池田武央さんはヘルシンキ芸術デザイン大学(現アールト大学)で戦略デザインとプロダクトデザインを学び、その後は英国のクリエイティブコンサルティングファーム「シーモアパウエル」で11年間キャリアを積んできた人物だ。シーモアパウエル在籍時、最初の5年はプロダクトやUIのデザイナーとして、残りの6年はデザインストラテジストとして働いた。

「このキャリアの変化は、市場がデザイン会社に求める機能が変わったことの象徴です」と、池田さんは振り返る。「例えばロボットのプロジェクトの場合、入社した頃はリサーチが1割でデザインが9割で、"かっこいいロボット"が求められていました。でも、それが逆転し、企業がロボット技術を使って、未来の社会に何を成し遂げることができるのか、そこが重視されるようになりました。マーケティングや技術に目を向けて戦略をつくる機能をクリエイティブの中に持たないと、市場優位性を持つアウトプットは出せないということです」。

転機が訪れたのは2017年だ。アプライアンス社デザインセンター所長の臼井重雄さんから「社内改革をするミッションがある。一緒に考えるブレーンになってほしい」というオファーを受けた。当初はシーモアパウエルの仕事として受けて、1年間、社内外のデザイナーにヒアリングを行い、改革案を模索していた。しかし前述したように企業のデザイン部門にストラテジストが必要だと感じていた池田さんは、シーモアパウエルを退社。パナソニック アプライアンス社で本格的な改革に取り組むことにした。

ヒアリングの結果、見えてきた課題は「流動性」と「多様性」の不足だった。「この2つがないと、強いアウトプットは出せない」と考えた池田さんは、シーモアパウエル在籍時から手がけていた「Panasonic Design Kyoto」を拠点に、"流動化"を推進した。京都四条烏丸にある9階建ての建物の4~9階までを、完全にリノベーション。分散していたメンバーが集結することで、社内の知見やスキルが流動すると同時に、セミナー、ワークショップもできる最上階のオープンスペースは、新しい知見や人材をどんどん社内に取り入れていく場と位置づけた。

ここは下の階に行くにつれ、デザイナーのフロア、プロトタイプをつくるフロアとなる。コンセプトは「DRIP」で、コーヒーが漏斗を通して滴り落ちて一つになるように、情報が価値へと変換されていくことをイメージしている。課題の一つ"流動化"については、この京都拠点のリノベーションで解決できると判断。池田さんは次に、"多様化"の課題に取り組みはじめた …

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企業のインハウスクリエイターやクリエイティブ専門部署に変化が起きている。会社組織の中で位置づけが変わったり、新たなインハウス組織を立ち上げる、独立したスタジオ(オフィス)を新設するなど、同時多発的な動きが見られる。外部のクリエイターと積極的に協業し、交流会を開くなど、よりオープンな気質を持っているのも、こうした新しいインハウス組織の特徴だ。なぜ今、こうした変化が起きているのか。各社への取材を通じて、インハウスクリエイターの役割の変化と、働き方の最前線を追った。

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