変化の激しい時代において企業が持続的に成長するために、インハウスクリエイティブ組織が果たす役割が注目されています。今回はLIFULL・PPIH・ヤンマーの3社から、クリエイティブ組織をリードするキーパーソンが集結。実践の最前線を聞きました。

「顧客と経営の橋渡し」
川嵜:今日は異なる業界の3人が集まりました。それぞれ、クリエイティブチームの役割について聞いていきたいと思います。
二宮:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の企業理念は「顧客最優先主義」。社員全員が「顧客にとって最も都合の良い店舗づくり」を重視しています。その中で私が責任者を務めるクリエイティブ本部が寄与すべきことは、顧客にとっての“都合良い”を目指して生まれた商品や店舗空間などの企画を、クリエイティブの力でより良い形で顧客に届けることです。その一方で、経営層に対する役割としては、ビジネスやクリエイティブの意図をKPIや予算などの数字に“翻訳”して約束すること。顧客と経営、それぞれにふさわしい言語でブランドを橋渡しすることが、クリエイティブ組織の役割だと考えています。それらを実現するためにも、クリエイティブ人材には「実装できる翻訳力」や「変化に対応できる力」を求めています。
たとえば店舗のデザインは、出店する地域にあわせて柔軟にデザインを変えています。「ドン・キホーテ浅草店」では、外観にはドンキの象徴でもある黒と黄色の3本線や、カタカナロゴをあえて使用していません。その理由は、外国人観光客が多い立地であること、そして店舗のある浅草六区が街をブロードウェイ風にするという都市計画を進めていたからです。そこで欧文ロゴを採用し、建築とサインが融合したようなデザインを実現しました。

PPIHでは、店舗デザインも「顧客最優先主義」。「ドン・キホーテ浅草店」はエリアの都市計画に合わせてブロードウェイを意識したデザインに。

東京・白金台の「プラチナドン・キホーテ白金台店」では、街との調和を意識したロゴデザインと色を採用。

沖縄の「MEGAドン・キホーテ宜野湾店」は、琉球赤瓦を使用。琉球文化に敬意を示す、地域密着型のデザイン。
またオリジナルブランドには、...