尾崎世界観さんの書籍の装丁やクリープハイプのアルバムのデザインを10年以上手がけてきた寄藤文平さん。その過程で大切にしているのは尾崎さんの作品に対峙した際の自身の「反応」だと話す。これまでの両者の共創について話を聞いた。
寄藤文平さんが手がけた、尾崎世界観さんの書籍の装丁の数々。(左上から)『祐介』(文藝春秋、2016年)、『母影』(新潮社、2021年)、『私語と』(河出書房新社、2022年)、『転の声』(文藝春秋、2024年)。
10年以上続く関係の起点
尾崎世界観さんは、2012年にデビューした4人組ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマンとして作詞・作曲を手がけ、近年は小説家としても高い評価を得るなど、多様な表現活動を展開している。その書籍の装丁やアルバムのジャケットなどのデザインを寄藤文平さんが手がけるようになったきっかけは、詩人の谷郁雄さんが詩を書き、尾崎さんが写真を担当した写真詩集『バンドは旅するその先へ』(雷鳥社、2015年)だった。
「僕は谷さんの詩集の装丁を以前から担当していて、その縁で『バンドは旅するその先へ』もご一緒することになりました。そこから尾崎さんの他の本やクリープハイプのアルバムのジャケットなども担当することになっていきました」。
当初は、本当に自身が担当すべきなのか、ある種の葛藤もあったという。「クリープハイプのそれまでのビジュアルのディレクションが、すごくいいと思っていたんです。だから僕が担当して、より良くなるという確信が持てませんでした。あいまいにするのも嫌だったので『僕が自分の考えに従ってデザインしたとき、みなさんが目指すものと...


