9月1日から、ブレーンが主催する動画コンテスト「BOVA」(第14回)の縦型動画部門の応募受付がスタートする。今回で3回目の開催を迎える本部門。猛スピードで変化・多様化する縦型動画市場を背景にBOVAの縦型動画部門では何を目指すべきか――審査員の3人が改めて議論をしたうえで、新たな審査方針が固まった。ここではその過程をレポートする。
縦型動画は「ルール」より「トーン」
明石 最近、縦型動画において「新しいね」「いいね」と感じられる余白がなくなってきているのを感じるんです。それは過去2回開催してきたBOVAの縦型動画部門の審査でも、少し感じ始めている部分で。“縦型”でできる表現がすでに出揃ってしまって、縦型という特性を駆使すれば評価された時代に終わりがきているともいえます。
花田 5月に開催されたBOVAの贈賞式では、オンライン動画部門の受賞作品のクオリティの高さが印象的でした。それを見て個人的には、縦型にまだまだやれることはあると可能性を感じました。
明石 改めて、縦型は横型に比べてクリエイティブの強度が出しづらいジャンルだと感じますね。世間や企業の間では「縦型に注力していこう」という流れがあるなかで、単に縦型であればいいのではなく、その期待に応えるような強いクリエイティブが求められるフェーズに入っているというか。
花田 縦型の場合、従来の広告的な企画のテクニックが通用しにくいというのもありますよね。「起承転結で感動させる」とか、「最初に疑問を抱かせて驚きと共に解決する」とか。そういう手法って、縦型のプラットフォームのユーザー側からすると、もはや必要ない。応募者もそれをまだ理解しきれておらず、“横型動画の縦版”という意識でつくってしまいがちな気がして。
明石 切り口や手法はひと通り出揃っているけれど、きちんと仕上げる余白はまだある、ということですよね。歴史があってかなり確立されてきた横型のオンライン動画に対して、縦型の場合は、素人然としたものとプロのクオリティの差分を埋める手法をまだ開発できる余地がある。
花田 そうですね。横型の動画だと、言語で整理できる企画がしっかりしていれば評価される傾向がありますが、縦型は非言語領域、つまり感覚的な部分が重要だと思うんです。佐藤雅彦さんがおっしゃる「ルール」と「トーン」のうち、「トーン」の部分。縦型ってパッとスマホの全画面に表示されるので、直感的にどう感じるか、という「トーン」が大事なんだけれど、まだ多くの人が「ルール」で戦っている感じがして。
明石 その話、めちゃくちゃ納得しました。
眞鍋 縦型動画を、スキマ時間を埋めてくれるものとして評価するのか、ユーザーの日常に深く刺さっていくものとして評価するのか、審査においては議論の余地はあるのかなと思います。縦型動画のトレンドはすごいスピードで変化していて、UGCっぽいものやミームに乗っかったものが、日々消費されている。その中で広告としてやるべきことは何なのか。僕自身、...


