登場人物たちの「関係性」をブランド像に結び付ける

公開日:2026年8月31日

  • 吉田善子

豊川悦司と中条あやみが出演する「キリン一番搾り糖質ゼロ」のCM、2025年からスタートしたJR東日本「大人の休日倶楽部」の竹野内豊を起用したCMシリーズなど、人のストーリーとブランド像を結び付け共感を呼ぶCMを多数手がけているCMディレクターの吉田善子さん。その背景には、緻密な人物描写と、人間関係を描く独自のアプローチがあった。

「設定資料」から始まる演出アプローチ

数々のCMやドラマで印象的なストーリーを描き出している吉田善子さん。そのキャリアは少しユニークだ。新卒で東北新社に入社した際の配属は、管理部。経理などのデスクワークに3年ほど従事した後、社内試験を受けて企画演出部へ異動。CMプランナーとして6年ほどキャリアを重ねた後に演出も少しずつ手がけるように。そのタイミングで結婚に伴い一度退職し、約8年間の専業主婦の期間を経て、40代から本格的にフリーランスのCM演出家として復帰を果たした経歴を持つ。

「専業主婦の時期も年に1~2本ほどCM企画を書いたりその演出をしたりはしていましたが、本格的に演出に携わるようになったのはその後。ただ、その前に企画の経験を数年積めたことは、今の演出の仕事にすごく生きています。プランナーさんが何を考え、何を伝えようとしているのか、その意図を理解した上で演出に落とし込めるからです」と吉田さんは振り返る。

そんな吉田さんの演出スタイルで特徴的なのが、絵コンテを描き始める前段階で「A4用紙1枚の人物設定資料」を作成することだ。

「登場人物がどんなバックグラウンドを持ち、どんな価値観で生きていて、それぞれどういう関係性にあるのか。演出コンテに入る前に、A4で1ページほどのお話や背景設定を書きます。実際のオーディションの際も、役者さんには事前にその資料を読んできてもらい、前提として演じてもらいます。現場で...

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