電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。
白・茶の二面性がユニークなクラフト紙
2026年2月発売の「クラフトデュプレ-FS」は白色と茶色の両面に印刷適性があり、クラフト感のある手触りのファインペーパー。前身の「クラフトペーパー デュプレN」が2024年に廃銘柄となり、その後継として今回、厚さのバリエーションを増やし再登場した。パッケージの組箱や封筒、本のカバー・見返しとしての用途を想定している。
この裏と表で色や質感が異なる“二面性”という特長を取り入れ、表1と表4が対となるブックジャケットをデザインしたのはグラフィックデザイナーの黒丸健一さんだ。
それぞれモチーフとしたのは、円盤状のUFOとコーヒーカップ。そこからもくもくとした雲やコーヒーの湯気が立ち上っている。よく見ると背に近い部分には明朝体で「リアル、フィクション。」という文字も。UFOと湯気と文字のデザインには白い光沢のあるパール箔が押され、雲とコーヒーカップにはグリーンのオフセット印刷とエンボス加工を施している。
「本には空想の物語もあれば、歴史や社会問題など現実に起きた出来事を綴ったルポなどもある。UFOは宇宙やSF、ミステリーやサスペンスといった“フィクション”、コーヒーカップは日常の延長にある“リアル”の象徴としてモチーフにしました。双方のフォルムを近付けて太い線で描いているので、細い片仮名の文字を組み合わせてコントラストを出しています」(黒丸さん)。
黒丸さんも仕事で使ったことがあり、なじみのある紙。だからこそフックをつくる難しさがあったが、仕上がりを見て「イメージ通り」と満足している。「平坦な絵柄がどんな風に立体的に仕上がるか、デザインの段階では想像が難しい部分もありましたが、仕上がりは理想通りでした。空想も現実もどちらも内包しているので、あらゆる内容の本に似合うブックジャケットだと思います」(黒丸さん)。
レストラン ラックス
IWATE ADC ANNUAL 2024
BBプラザ美術館「植松奎二 コレクションのある風景」
今月使った紙:クラフトデュプレ-FS
白色のスムース面と茶色のラフ面。表裏で異なる風合いを楽しめるファインペーパーです。「duplex(二重の、二つからなる)」という名のとおり、一枚の中に二つの魅力を備えています。組箱などに適した厚物も取り揃えた、古紙40%以上配合のFSC 森林認証紙です。
黒丸健一
くろまる・けんいち フリーランスのグラフィックデザイナーとして岩手県盛岡市を拠点に活動。美術館の宣伝美術、ミュージシャンのアートワーク、飲食店のグッズデザインなど幅広く手がける。地方に暮らす感覚を保ちながら全国へ活動を広げ、近年は海外のプロジェクトにも参加。
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