「建前の否定」と「欲望の肯定」が拓く 炭酸飲料市場における“ストレス溶解”の新需要

公開日:2026年10月01日

  • 大槻拓海氏(サントリービバレッジ&フード)

2026年3月にサントリービバレッジ&フードが発売した「ギルティ炭酸NOPE(ノープ)」。若年層の流入減少や成長鈍化という炭酸市場の課題に対し、従来のフレーバー分類ではなく、「ひとりの時間でストレスを溶かす」という生活者の心理・行動パターンに着目した。そんな同商品の開発背景と、“背徳感”を味・デザイン・広告へと統合したマーケティング戦略について、同社ブランドマーケティング本部の大槻拓海氏に話を聞いた。

3月に発売した「ギルティ炭酸NOPE」は、発売から150日で出荷1億本を突破。

ストレスを溶かすシーンに着目 味種から“気分・過ごし方”へ

炭酸飲料市場は全体として大きな規模を誇る一方で、近年は市場全体の成長が鈍化傾向にあり、特に20~30代を中心とする若年層の新規流入減少が業界共通の大きな課題となっていた。従来の炭酸飲料カテゴリーにおけるマーケティングは、コーラやラムネ、あるいは果汁炭酸といった「フレーバー(味種)」ごとの価値提案が中心であり、棚割りや商品開発もフレーバー軸で整理されることが一般的であった。

そうした既存の枠組みに対し、サントリーが見出したのが現代人のストレス構造の変化と、その解消に向けた日常的な過ごし方の変容である。サントリービバレッジ&フードブランドマーケティング本部の大槻拓海氏は、企画の起点となった生活者洞察について、次のように語る。

「特に20~30代の若年層において、飲み会などで大勢集まって話すなかで一気に不満を発散させるような従来のスタイル...

この先の内容は...

『宣伝会議』 定期購読者限定です

ログインすると、定期購読しているメディアの

すべての記事が読み放題となります。

購読

1誌

あたり 約

3,000

記事が読み放題!

この記事をシェア

この記事が含まれる特集

いま改めて考える「インサイト」の正体。

企業はかつてないほど多くのデータを手にしています。購買履歴、SNS上の声、検索行動、位置情報、さらには生成AIによる分析まで、生活者を理解するための情報は飛躍的に増えました。しかし、その一方で、「なぜ、この商品を選ぶのか」「なぜ、その広告に心が動くのか」といった、人の本質的な動機を捉えることは、むしろ難しくなっています。データは行動を示しても、その背景にある感情や葛藤までは語ってくれません。だからこそ今、改めて注目されるのが「インサイト」です。本特集では、インサイトとは何かという基本的な考え方を整理するとともに、ニーズやファクトとの違い、人を動かすインサイトの見つけ方、そして商品開発やブランド戦略、コミュニケーション、クリエイティブへとつなげるプロセスを、多様な実例とともに解説します。さらに、生成AIがリサーチや分析を担う時代に、マーケターやクリエイターだからこそ果たせる役割とは何かを考察。データ時代だからこそ求められる「生活者理解」の本質を、考えます。

MEET US ON