2025年11月、青山商事が発売した「みんなのスーツ」。物価高やオフィスカジュアルの浸透でスーツ市場の二極化が進むなか、1万2980円(税込)という低価格でありながら、老舗ならではのテーラード技術を注ぎ込んだ商品が大きな話題を呼んでいる。新規の顧客率を約1.5倍に伸ばし、10代から70代まで幅広い層を惹きつける同商品の開発の背景について、同社の河原林孝太氏に話を聞いた。
「安さ」と「楽さ」の裏にあるマナー違反を恐れる潜在的不安
コロナ禍以降、スーツ市場ではプレミアムラインとバリューラインの二極化が進み、オフィスカジュアルの浸透によってスーツの定義自体が曖昧になっていた。一方、既存のスーツには「格式が高く堅苦しい」「購入後のお直しや手入れが大変」といった敷居の高さがあり、変化した生活者の日常に寄り添う「手軽で間違いのない装い」を提供しきれていなかった。そこで同社が着目したのが、ファストファッションなどで、シャツやTシャツといった日常着と同じような感覚でセットアップを購入する動きだった。毎週営業店から上がる報告も踏まえ、同社は、「安さ」や「...


