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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

消費は所有から利用へ─オンライン・サービスの購買体験デザイン​

今月のテーマ:「購買体験」のデザインの基本

デジタル時代の今、あえて実店舗を訪れる消費者は、実店舗ならではの購買体験を求めていると言えます。一方、サブスクリプション型ビジネスが、ソフトウェアや音楽のみならず自動車や洋服など「非デジタル」なプロダクトにも浸透しつつあり、それが消費者の購買行動を大きく変えつつあります。

オフラインとオンラインで全く異なる、最適な購買体験のつくり方。それぞれの購買体験を最適、期待以上のものにするために、どのようなデザインが求められるのか解説します。

    オンライン・サービスの「購買体験」のここがポイント!

  • "所有"するのではなく、自分のニーズに合った"利用"機会を求める生活者の変化に対応する。
  • 「生活者にサービスを継続利用してもらい、関係性を持ち、深める」ことで収益化を目指す。
  • リアルタイムに顧客個人に紐付けられた利用データを活用し、顧客とのエンゲージを強化する。

サブスクリプション型に移行して得られるもの

サブスクリプション型ビジネスとは、継続課金型のビジネスモデルのことを指します。新聞や雑誌の定期購読のように、古くからあるビジネスモデルの考え方のひとつでしたが、アナログ時代には、提供されるモノ自体は基本的には一律のものであり、主に料金の継続的課金を行うための仕組みであったものが、デジタル化されることにより、利用状況や利用量に応じてモノやサービスを個別に提供することが可能になるなど、新しい購買体験を提供するビジネスモデルへとシフトしています。

今回は、サブスクリプション型ビジネスの特徴を読み解きながら、あるべきサービスデザインのあり方を考えてみたいと思います。

サブスクリプション型サービスの代表的なものとしては、例えばAppleによる音楽配信サービス「Apple Music」が挙げられます。定額制の音楽聴き放題サービスで、数千万曲の楽曲を自由に聴いたり、気に入った楽曲をダウンロードし自分のライブラリに追加して持ち歩くこともできます。

また、動画配信サービスにおいてもHulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオをはじめ、定額制で映画やドラマなどの映像コンテンツが見放題というサービスが次々と国内参入してきたこともあり、日本でも身近なものに感じられる機会が多くなってきていると思います。

かつては、音楽や動画を楽しむにはCDやDVDといった"モノ"を購入していたのが、近年になって、定額課金の契約をすることで好きなだけ聴いたり見たりできる、いわば"体験"を手に入れる消費スタイルが普及しています。結果として、生活者側の価値観にもシフトが起きていると考えられます。

ソフトウェア業界大手のアドビは、2012年夏からソフトウェアの販売方式をプロダクト販売型から、月々一定の金額を支払えば利用できるサブスクリプション型へと変更しました。結果として、従来獲得することが難しかった新規顧客の増加、そして全体的な収益化にも貢献し、業績向上に寄与することとなりました。

高価なソフトウェアを購入するのではなく、まずは月額料金で利用できることにより、トライアル機会を増やすなどの形で間口を広げることができたほか、クラウドでのサービス提供によって顧客の正確な利用状況を把握できるようになったため、サービスや機能の改善を行ったり、適切なタイミングでアップグレードを促すことも可能になりました。プロダクトの売り切りモデルの際にはできなかった、顧客満足度向上を実現できたのです。

アドビの事業転換に代表されるように、自社ができることを再定義し、自ら顧客との関係性を深め、顧客体験を高める方向へとシフトする手法、つまり"モノ"を売らないことにより成功を収める会社が増え始めています。

"所有"するのではなく、自分のニーズに合った"利用"機会を求める生活者の変化に対し、プロダクト販売型の企業はどのように対応したらよいでしょうか。

"Always on"で変化するマーケティングの4P

スマートフォンの普及で、生活者はいつでも自分が欲しい情報を取りにいき、消費できるようになりました。また企業は、IoTに代表されるように、さまざまなモノにセンサーがついたことで、常に生活者の各種データを取得できるようになってきました。テクノロジーが、生活者と企業の関係性を変化させてきています。

こうして、ネットワークを通じて生活者がいわば"Always on"の状態になることにより、マーケティングの軸足も大きく変化していきます。

従来の「製品の購買」をゴールに設計されていたマーケティングの考え方では、「より多くの認知を得て、どれだけ売上を上げられるか」という考え方が最重要でした。

一方、これからますます普及するであろうサブスクリプション型のビジネスでは、生活者と企業は常に「つながった状態」にあることが前提となります。「生活者にサービスを継続利用してもらい、関係性を持ち、深める」ことで収益化を目指すモデルへのシフトです。

マーケティングの基本フレームであった4Pも、デジタル化に伴う顧客との関係性の変化に着目すると、それぞれ「従来重視してきた要素」とは異なる概念をカバーする必要が出てくると思います。

次に、企業がサブスクリプション型ビジネスに着手するために必要な「3つの視点」と「3つの導入ステップ」を紹介します。

導入に必要な3つの視点

サブスクリプション型ビジネス導入に求められるマーケティング的な視点は次の3つです。

【視点1】ユーザー期待を超えるサービスの設計
→顧客との継続的な関係だからこそ実現できる価値提供を!

サブスクリプション型ビジネスを導入するなら、当然「新たに導入するサービスが顧客にとってメリットがあり、魅力的であること」が条件となります。ネットを通じて顧客とつながっていることを前提に、「顧客基盤(=顧客との継続的な関係)モデルならではの顧客メリット」を考えたサービスを設計しましょう。

BtoBマーケティングの世界では、「カスタマーサクセス」という概念が語られることが増えてきました。顧客が抱える問題を発見し、解決し、顧客を成功に導くといった一連の活動を行う概念です。短期的な売上をゴールに設定するのではなく、時間軸に捉われることなく顧客の成功に視点を置くことは、サービス設計を行う際にも重要な視点となると考えます。

【視点2】いかに顧客のエントリーの機会を広げ、継続させるか
→豊富なプラン(料金・内容)から選べる形をつくる

サブスクリプション型ビジネスでは、顧客を獲得するだけでなく、獲得した顧客との関係(=利用契約)を「継続」することに注力します。そこに必要なのが、豊富なプラン、複数の選択肢の提供です。顧客と常時つながっていることを生かして、顧客の利用状況に応じた「プラン変更」を提案できます。変更時の簡便性やスピード感が契約の継続につながります …

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