子ども用IoT文具に熱視線を送った大人たち 「最初の10分」と「孤独」に見つけた学習の壁

公開日:2026年10月02日

  • 中井信彦氏(コクヨ)

小学生の家庭学習を習慣化する目的で2019年に発売され、累計約6万台を売り上げたコクヨの「しゅくだいやる気ペン」。その購買データやレビューの中に、開発チームも予想しなかった「大人ユーザー」の姿があった。難関資格やスキルアップに挑む社会人が抱える「孤独感」と「挫折感」に着目し、2025年に一般発売された「大人のやる気ペン」。同商品の着眼点とインサイトの深掘りについて、同社やる気ペンユニット長の中井信彦氏に話を聞いた。

2025年1月、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて先行販売を実施した「大人のやる気ペン」。その後、同年5月12日に一般発売した。

子ども向けでヒットのはずがレビュー欄に意外なコメント

コクヨは2019年、ペンに取り付けて筆記時間を可視化し、その時間に応じてアプリ内のすごろくが進み、子どものやる気を引き出すIoT文具「しゅくだいやる気ペン」を発売した。家庭学習の習慣化ツールとして累計約6万台を出荷するヒット商品となったが、累計3万台を売り上げた頃、開発チームはある異変に気付く。

Amazonのレビュー欄に「ボールペンで使いたい」「大人用のやる気ペンを希望します」という投稿がつき、そこに148件もの「役に立った(いいね)」が集まっていたのだ。さらに同商品専用アプリの登録者の数%に大人と思われるアカウントが存在していた。同社でデジタル文具の開発を主導する中井信彦氏は、当時の戸惑いをこう振り返る。

「当初は使用者である子どもの保護者が誤って自分名義で登録したエラーデータだと思っていました。しかし実際にインタビューを行うと、...

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いま改めて考える「インサイト」の正体。

企業はかつてないほど多くのデータを手にしています。購買履歴、SNS上の声、検索行動、位置情報、さらには生成AIによる分析まで、生活者を理解するための情報は飛躍的に増えました。しかし、その一方で、「なぜ、この商品を選ぶのか」「なぜ、その広告に心が動くのか」といった、人の本質的な動機を捉えることは、むしろ難しくなっています。データは行動を示しても、その背景にある感情や葛藤までは語ってくれません。だからこそ今、改めて注目されるのが「インサイト」です。本特集では、インサイトとは何かという基本的な考え方を整理するとともに、ニーズやファクトとの違い、人を動かすインサイトの見つけ方、そして商品開発やブランド戦略、コミュニケーション、クリエイティブへとつなげるプロセスを、多様な実例とともに解説します。さらに、生成AIがリサーチや分析を担う時代に、マーケターやクリエイターだからこそ果たせる役割とは何かを考察。データ時代だからこそ求められる「生活者理解」の本質を、考えます。

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