スタジアムに立つと、 言語化されていないニーズが浮かび上がる

公開日:2026年7月31日

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  • マスメディアン

第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)でクラブサポート2部 部長 兼 事業マーケティング本部プロモーション部 プロモーション担当オフィサーを務める西功暉さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!

Q.新卒でなぜ広告業界を選んだのですか?

大学では都市計画や土木建築を学びましたが、専門領域を極めるよりも幅広い業界に触れられる仕事がしたくて。デジタル広告が盛り上がり始めた時期だったこともあり、広告業界に興味を持ちました。セプテーニを選んだのは、社員の方々が魅力的だったから。重要なことほど直感で決めるタイプです。

入社後は、広告運用に携わりました。広告業界ということで芸能人に会うとか、華やかな世界を想像していましたが(笑)、実際はデータに向き合い、数字と格闘する日々。イメージとのギャップは感じつつも、仕事は楽しかったです。

Q.ラクスルに転職した決め手は何だったのですか?

3年経った頃には、より上流のマーケティングへの興味が強くなり、事業会社への転職を決めました。ラクスルは当時、大きな資金調達をして勢いがあり、募集要項にもデジタルマーケティングに注力すると書かれていました。自分のそれまでの経験が「ハマる」と思ったんです。

結果的に、この転職は私にとって大きなターニングポイントになりました。デジタル広告からテレビCMまで幅広い領域を経験し、その後はAIマーケティング支援事業「ノバセル」の開発に従事。さらに、SaaSの分析ツール開発プロジェクトでは、顧客のニーズを聞き取り、エンジニアとプロトタイプをつくり、営業も行うなど、マーケティングの全域に関わることができました。

現・グループCROの田部正樹さんとの出会いもインパクトが大きかったです。彼の直下で6年間働く中で、「神は細部に宿る」を徹底する姿勢を間近で見て、マーケティングとは何かを根本から学びました。

Q.Jリーグへ転職した背景を教えてください。

ラクスルを出て自分の力で勝負してみたいという気持ちがありました。それに、BtoC商材も経験してみたかった。そんなとき、InstagramでJリーグの「マーケター募集」という広告を偶然見つけて、興味本位で応募してみたんです。

当時のJリーグは、コロナ禍で落ち込んだスタジアム来場者数のV字回復を目指し、マーケティング投資の再開を予定していました。初の統合マーケティングを実現させるための採用活動で、マスからデジタルまで網羅的に経験してきた私のスキルが合致したのは幸運でした。

2021年に入社した後は、予定していたテレビCM制作から始まり、SNSやデジタル広告を組み合わせた統合マーケティングを推進しました。予算が大きかったので、「失敗できない」という緊張感がありました。その後、さまざまな要因もあり来場者数は順調に回復。2024・2025シーズンは、連続で総入場者数の最高記録を更新できました。実は、私はもともとJリーグが好きで、よく観戦に出掛けていました。面接で聞かれたんです。「好きを仕事にする覚悟はありますか」と。

私は、好きだからこそモチベーション高く取り組めるし、もっと勉強したいと思える。さらに、自分が関わった施策で多くの人がスタジアムに集まる光景を想像すると、これほどやりがいのある仕事はないと感じました。好きであることは、責任と覚悟を持って仕事に向き合う理由になると思います。

今の上司がよく言うのが、「運・縁・恩」。私も、力を貸してくれる人への恩と感謝を大切にし、一つひとつの縁を大事にするように心がけています。セプテーニで教わり、今も実践している価値観に、「迷ったら変化の大きい方を選ぶ」というものがあります。Jリーグに入社したのは偶然の出会いからでしたが、周囲との関係を丁寧に積み重ねていけば、直感で選んだ道でも後悔することはないと思っています。

Q.いまの役割において大切にしていることは。

現在は、「60クラブが、それぞれの地域で輝く」という方針のもと、新設されたクラブサポート部を兼任し、全国60クラブの各地での関心向上やスタジアム集客増加を支援しています。Jリーグを認知しているけれど、関心が低くスタジアムには行かない方、関心はあるけれどスタジアムに観に行ったことがない方がまだまだ沢山います。私自身、Jリーグがある日常が最高に楽しく幸せを感じているので、ひとりでも多くの方にJリーグを通じて感じる「幸せ」を広げたいですね。

マーケティングは総合格闘技であり、経営そのものだと思っています。要素が複雑に絡み合う中で、何を課題と捉え、どこに打ち手を置くかを判断する力が欠かせません。アウトプットはAIで簡単につくれる時代だからこそ、マーケターに求められるのは「本質的な課題を定義する力」です。

その力を磨くために、私は毎週末スタジアムやショッピングモールや公園に足を運び、そこにいる人々の動きや困りごとを見るようにしています。現場に立つと、言語化されていないニーズが浮かび上がるんです。顧客と向き合い、気付きを拾い続けること──それこそがAIにはできない、マーケターの価値だと思っています。

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
クラブサポート2部 部長 兼 事業マーケティング本部
プロモーション部 プロモーション担当オフィサー
西 功暉氏

早稲田大学創造理工学部で土木建築や都市計画を専攻。2013年に卒業後、セプテーニに就職。さまざまな商材の広告運用を担当したのち、幅広いマーケティング領域への挑戦を目指して事業会社のラクスルへ転職。ラクスルのマーケティングやノバセル事業の開発から営業までを網羅的に担当。2021年、Jリーグへ転職し、マーケティング・プロモーションを通じファン層の拡大に貢献。2025年より現職。

聞き手
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 直哉

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

    お問い合わせ

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