デジタル化により効率的なデータ分析が可能となったが、AIが得意とするのは「常識」の蓄積であり集約である。市場を動かす突破口は、「AIが得意とする常識」から「ちょっと外れる違和感」や「個のストーリー文脈」の中に隠れている。P&Gで数々のヒットを生んできた米田氏が、AI的常識と人間的ナラティブを使いこなす極意を解説する。
AIが苦手な「個」の文脈と異常値だからこその価値
―近年「ナラティブ(物語・文脈)」に注目が集まっている背景をどのようにお考えですか。
私は、リサーチや分析にはどんどんAIを活用していくべきだと考えています。AIを最大活用するためには、それぞれのAIにプログラミングされている得意・不得意を理解することが重要だと思います。今の時点では、多くのAIは膨大なデータから「論理的正解」を導き出したり、大多数の人々に当てはまる「平均的ペルソナ」をつくり上げたりするのが非常に得意です。
それに対して、私の経験として、マーケティングにおける突破口やイノベーション生むヒントは、今の常識を少し外れる・覆すような行動や考え方の中に隠れていると思っています。例えば、誰もが靴を履くのが当たり前の社会で、あえて裸足で歩いている人がいたら、「なぜ裸足なのか?」という背景にある価値観や文脈を深掘りします。新しいライフスタイルや価値観が見つかるかもし...


