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新しい「メディアの教科書」

ストレス臭を世の中ゴト化?「AgDEO24」の統合プロモーション戦略

今年2月、資生堂ジャパンは「ストレス臭」をケアする新商品「AgDEO24(エージーデオ24)」を発売した。耳慣れない「ストレス臭」というワードを発売前に“世の中ゴト”化したその裏には、一体どんな戦略、メディアプランニングがあったのだろうか。

テレビCMと同じ鑑定人とアイコンをグラフィックにも使用。ポップな黄色いモコモコでストレス臭を表現した。

「ストレス臭」というニュースをポジティブに世の中に浸透させる

プロモーション活動におけるデジタルシフトが企業に浸透した今、次に目指すべき地点はオンライン、オフラインの施策をいかに連動させ、他社との差別化を図るかだと言えるだろう。長年、香りとニオイの基礎研究を続けてきた資生堂は2018年、「ストレス臭」というニオイの存在を特定。ニオイの原因物質を特定し、無臭化する新商品「AgDEO24」を開発した。

資生堂ジャパン パーソナルケアマーケティング部の熊坂友貴氏は、その経緯について「ストレス臭とは、人間がストレスや緊張下において全身から発する特有のニオイのことを指します。このニオイをかぐと、心理的指標において疲労・混乱のスコアが高くなることも確認しました。そこで『AgDEO24』では、このストレス臭を包み込んで目立たなくする新香料STハーモナージュ香料を開発しました」と説明する。だが、そこには新商品のプロモーションを行う上で「ニオイ」という問題ならではのセンシティブな課題があった。

「いきなり"ストレス臭ケアができるスプレー、登場!"と打ち出しても、響かないと思っていました。初めて聞くストレス臭というワードを広めるにあたって、商品発売前に広告以外の認知を得るアプローチが必要になると考えていました」。

この課題に対して、商品発売前の戦略PR施策から一緒に組み立てることになったのが電通の第4CRプランニング局の町田聖二氏を中心としたチームだ。

ストレス臭という新発見をいかにネガティブな印象に陥らせずに世の中へ伝えるか、そのために気をつけたことをチームメンバーである、同局の滝嶋世理氏は「一番大事なことは、ストレス臭という新発見をまずは"世の中ゴト"化することでした。そこで、『ストレスって、ニオうんだよ』という一番コアなメッセージをコミュニケーションの柱に立てた。その上で最初からテレビCMを流すのではなく、ニュースとして世の中の人が知った上で同調してもらおうと。それが今回新たに考えたストーリーです」と話す。

"世の中ゴト"化するためにニュースになる施策を設計

2018年春の「AgDEO24」チームからのブリーフ後、PRの最初のアクションは10月の技術セミナーの開催だった。これまでも「加齢臭」などを発見してきた資生堂が新たなニオイを特定したこと、その詳細を研究員がプレゼンしたことで、最初のニュースづくりを行った。ストレス臭のサンプルを用意して来場者に体験してもらい、「見えないニオイ」を体験によって伝えた …

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新しい「メディアの教科書」

かつて広告実務の教科書では、テレビは「認知」媒体、新聞は「理解」を促進し、「雑誌」や「ラジオ」は「絆」を深めることに秀でているといった、各マスメディアの広告メディアとしての特性解説がなされていました。

インターネット、SNSが登場したいまの環境においても、それぞれのマスメディアが持つ機能や役割は変わらないのでしょうか。インターネットがマスメディアの役割を代替するといった悲観論ではなく、インターネットが浸透したからこそ、生まれる既存メディアの新しい機能や役割があるのではないでしょうか。今号では、「新しいメディアの教科書」をテーマに、現在の環境における「主要メディアの役割」を各界の有識者が再定義。さらに広告実務の現場で、いま「メディア」というものがどのように理解され、活用されているのか、事例も交えながら解説していきます。

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