自社の持つブランドイメージから一変、大胆な表現のスマホサイトを実現させた「パナソニック」。これまでアプローチし切れなかった若年層の間で話題が拡散するに至ったヒントを聞いた。

歴史あるブランドの商品サイトが期間限定で「鼻毛で遊ぶサイト」に
2016年3月末、パナソニック「エチケットカッター」のWebサイトが話題を集めた。商品の開発担当者が鼻毛処理の必要性や独自の技術を紹介しているページをスマホで見ると、開発担当者の鼻から鼻毛が伸びてくる。スマホのセンサーに応じて左右に揺れたり、スクロールして絡まった鼻毛を振りほどいたり、思わず笑ってしまうような仕掛けだ。
サイトが公開されると、ネットでは若者を中心に拡散され、まとめサイトで取り上げられるなど話題が広がっていった。
歴史あるブランドを持つ大手企業らしからぬ、大胆で面白いアイデアを実現させたのは、パナソニック コミュニケーション部の有志メンバーが集まったプロジェクトチームだった。同プロジェクトに参画する田島秀憲氏と、岸本留緯氏に、斬新なアイデアの背景にあるブランド戦略を聞いた。
「次年度の事業計画や次の時代のコミュニケーションについて検討していたとき、年代別のメディア接触率を調べる機会がありました。すると35歳を境に、テレビや雑誌などの旧メディアへの接触率が高い層と、スマホを中心に情報取得をする層に分かれるんです。そこで、スマホ世代といわれる35歳以下のメンバーが集まって、次世代のファンを獲得するための新しいコミュニケーションを考えようと、2015年11月にプロジェクトが発足しました」と岸本氏。
次世代のファンを狙う背景に、「パナソニックが、これまで主にファミリー層やシニア層をターゲットにしてきたため、若者へのコミュニケーションを厚くしてこなかったことへの課題感があった」と田島氏は語った。
プロモーション実施日程が3月中旬に決まっていたので、プロジェクトメンバーで話し合い、新生活準備シーズンを迎える新社会人をターゲットに定めた。
その層でも手に取れる価格で、新生活に必要な商品、さらに何か面白い芽があるのではないかと思える商品をと思い ...