
(左)1975 (右)2025
液状のり「アラビックヤマト」が発売されたのは1975年。高度経済成長期を経て女性の社会進出が進みつつあった当時、企業の事務職に女性が多く就くようになった。事務作業を行う上で「のりで手を汚したくない」という女性ならではのニーズが生まれ、スポンジキャップ付きの「アラビックヤマト」が誕生した。
指で伸ばすタイプのでんぷんのりが主流だった当時、手を汚さず、滑らかかつ均一にのりが塗れる液体のりは革新的な商品だった。しかし、一般的なのりの1.5~2倍という高価格帯であったために、販売は苦戦していた。
そこで同社が打った戦略がミニサイズでのサンプル展開だ。この時、企業や官公庁を中心に配布。同社事業開発部の村上和生氏は「サンプルを使用した方から品質や使いやすさへの評価を受け、少しずつ売上が伸びていったと聞いています」と当時の反響について話す。
その後は品質の高さを強みに、順調にシェアを拡大し学校や家庭で幅広く使われるようになった。そんな「アラビックヤマト」だったが、少子化の影響や2008年のリーマンショックで大きな転換期を迎える。それまでは会社が一括購入していた文房具も、経営難により支給をカットするケースが増えたのだ。こうした動きを受けて...