行動データの裏にある「真の理由」行動経済学で読み解く非合理な実像

公開日:2026年1月30日

  • 相良奈美香氏(Behavioral Science Group)

行動ログは「何をしたか」は教えてくれるが、「なぜしたか」という意思決定の文脈までは可視化できない。消費者の多くは、合理的な判断ではなく「直感」や「心理的報酬」に突き動かされて行動しているからだ。AI時代にマーケターが真の洞察を得るために必要な視点とは何か。行動経済学のスペシャリストである相良奈美香氏に、顧客理解の解像度を高める術を聞く。

行動データだけでは見えない「意思決定」の真実

―データサイエンスが普及した今、人間の「非合理性」に注目すべき理由は何でしょうか。

行動データは「何をしたか」は教えてくれますが、その一歩手前にある「なぜしたか」という意思決定の文脈は教えてくれないからです。例えば、あるユーザーがNetflixで『フレンズ』を繰り返し視聴しているというデータがあるとします。AIは「類似作品」を推奨しますが、本人の意思決定を深掘りすると、実は「脳が疲れていて、何も考えずに流し見できるものが欲しかっただけ」かもしれません。

この「脳の負荷」という文脈を読み解く鍵こそが、行動経済学が提唱する人間の非合理性です。理想的な意思決定には膨大なリソースが必要ですが、現実は不可能です。多くの人は「最高」を求めるのではなく「これで十分(グッド・イナフ)」という基準で動いています。この不完全な人間...

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AI時代の「顧客理解」マーケターが今、知るべき視点・手法

顧客接点がデジタルシフトしたことで、マーケターはかつてないほど多くのデータを入手することができるようになりました。一方で、「データはあるのに、その先にある生活者の実像が見えにくい」という課題を抱える場面も少なくありません。本特集では、データドリブンが加速するAI時代において、いかにしてデータの先にある人の感情や動機、さらには背景となる文脈を捉えることができるのか、その方法論を探ります。KPIの再定義や分析デザイン、行動経済学による非合理性の解明から、ナラティブ、ペルソナ設計、共創の実践までを網羅。テクノロジーと人間理解を対立させるのではなく、統合的に活用し顧客理解の解像度を高める思考法を、第一線の知見から解明していきます。

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