森永製菓の佐藤実氏は、インサイトを「生活者の行動の奥底にある、無意識下の言語化できない深層心理」と説明する。顕在化されたニーズや声、数字データという“ファクト”を手掛かりにしながら、いかに無意識の領域へと洞察を深めていくのか。自身の思い込みを排し、ひとりの生活者としての五感を研ぎ澄ますインサイトの発見術と具体化のプロセスについて、話を聞いた。
ファクトや声の先にある「無意識下の深層心理」
―佐藤さんは「インサイト」をどのようなものだと捉えていますか。
私は、「お客さまの行動の奥底にある無意識下の言語化できない深層心理」だと捉えています。お客さま自身すら自覚していない意識や感情であるため、直接的な質問などで容易に捉えられるものではありません。そのほかにマーケティングの現場で扱う重要な要素として、生活行動の実績として具体的に表れる「ファクト」、そのファクトが集計・可視化された「データ」、お客さまが意識的かつ主体的に言葉やテキストで発する「生活者の声(VOC)」、そして自分自身で欲求を自覚して言葉で表現できる「ニーズ」が存在します。
インサイトはこれらとは明確に異なり、言葉や数値として表面化しない深層領域に存在しています。だからこそ、ファクトやデータ、生活者の声という目に見える情報を単なる事実としてそのまま受け取るのではなく、それらを手がかりとして行動の奥底にある背景や感情を深く洞察していく思考プロセスが不可欠になると考えています。
―普段、生活者のインサイトを見つけるためにどのような観察や意識を持っていますか。
発言や意識以上に、「実際の行動」...


