マーケティングにおいて数値化された定量データは重要だが、それだけでは「なぜ消費者がその行動をとったのか」という背景までは見えてこない。調査の目的を明確にする「リサーチ・クエスチョン」を起点に、さまざまな手法をどう使い分けるべきか。実例を交え、消費者理解の解像度を上げるための定性リサーチの要諦を、武蔵大学の大平修司教授が解説する。
調査の方向性を決めるリサーチ・クエスチョン
マーケティング・リサーチの方法は、大きく2つに類型化できる。ひとつはアンケート調査といった1次データや家計調査などの2次データという量的(数値)データを利用する定量調査である。もうひとつはインタビュー調査やエスノグラフィーなど消費者の言葉や行動といった質的データを利用する定性調査である。
これらは、どのような目的に基づいて調査を実施するのかによって使い分ける必要がある。その鍵となるのが、調査の前に決定する調査内容に関わる問いとしてのリサーチ・クエスチョンである(佐藤2024)。
リサーチ・クエスチョンとは、調査のさまざまな段階で設定される課題や問いを疑問文形式の簡潔な文章で表現したものである。なぜ調査の前にリサーチ・クエスチョンを決めるのかというと、調査を行う基本的な方向性を決める羅針盤としての役割を務めるからである。ここではそれをwhatとwhyを...


