近年の予測不能な気候変動で、前年の実績だけでは需要を読み解けず、在庫の過不足やプロモーションのミスマッチに悩む企業は少なくない。しかし、この不確実な天候を「データ」で読み解き、事業成長へとつなげる先進的な取り組みが広がりを見せている。気象データを活用し、さまざまなサービスやソリューションを展開する「Weather X」などを運営する日本気象協会の担当者に、気象データの最新活用トレンドや具体的な成功事例、企業が天候とどのように向き合うべきかなどについて話を聞いた。
自社製品と天候との関係を分析することから始めよう
日本気象協会が提供する気象データのビジネスでの活用を提案する、ウェザーマーケティング情報メディア「Weather X」が、APIを通じた気象データの販売を開始して約3年。日本気象協会防災・気象DX本部気象DX事業部気象デジタルビジネス課課長の吉開朋弘氏によると、「企業の事業活動における気象データ活用は拡大している」という。
特にニーズが高いのが気象予測データよりも、過去の「観測データ(実績値)」。多くの企業が、気象予測を用いた戦略立案に取り掛かる前に、まずは自社の商品やサービスと気象の関連性を詳細に分析したいと考えているためだ。この「自社分析」需要が観測データ購入を後押ししている。
現在、気象データをマーケティングに活かす目的としては商品のプロモーション、需要予測、在庫管...