CTVが普及し視聴行動が多様化する中、テレビCMの効果測定やリーチ最大化に課題を感じる企業は少なくない。こうした状況に対してSMNが提供する「TVBridge Ads」は、国内主要メーカーのテレビ視聴データを活用し、テレビCMとデジタル広告を統合的に運用・分析するソリューションだ。サービス開始から5年、市場の潮流と展望について話を聞いた。

サービス開始から5年 テレデジ統合施策はさらに高度化
CTVの普及が進みCTV広告市場が活性化する一方、従来の地上波テレビCMはリーチやフリークエンシー(FQ)の目標達成の難化や、効果測定の難しさといった課題に直面している。テレビCMとデジタル広告を分断せず、その広告効果を最大化するニーズが高まる中、ソニーグループのSMNはマーケティング・テクノロジー事業で培った技術力を活かし、この課題解決に挑んできた。2020年9月にサービスを開始した「TVBridge Ads( ティービーブリッジアズ)」は、同社の主力ソリューションのひとつ。国内主要テレビメーカー4社のコネクテッドテレビ約1,300万台(2025年3月時点)から得られる視聴データを活用した広告配信を可能にする国産DSPだ。
昨今、広告効果の「見える化」に対する広告主のニーズは、デジタルに留まらずテレビCMへも波及しており、その傾向はTVBridge Ads開発当時と比べてさらに顕著になっている。マスへのリーチ力などテレビCMの影響力は依然として大きいものの、若年層のテレビ離れなど視聴行動の変化は見過ごせない。ブランドコミュニケーション営業企画課課長の伊藤展人氏は「テレビとデジタルを代替関係で捉えるのではなく、それぞれの特性を活かしながら並行して活用し、ターゲットリーチやFQ、ひいては視聴者への訴求効果を最大化していく考え方が重要です」と語る。
実際に広告主のニーズもより戦略的な方向へと変化していると伊藤氏。従来の「テレビCMを見ていない層に対してデジタル広告で補完したい」といった要望に留まらず、「テレビCMを見た視聴者に対して、デジタルで重複接触をしてより訴求力を高めたい」「競合他社のCMを見た視聴者へデジタルでアプローチし他社ブランドへのスイッチを防ぎたい、自社ブランドへのスイッチを促したい」といった、より高度な要望が増えているという。
こうした課題やニーズに対し、TVBridge Adsはテレビ視聴データを活用した多彩なターゲティング機能を提供する。「CM未視聴ユーザーターゲティング」では、テレビCMを見ていない層にデジタルでリーチし、キャンペーン全体の純粋なリーチを最大化する。
「この機能の主な価値は、テレビCMとデジタル広告のリーチが重複しないようコントロールできる点にあります」と同課の有川喬氏は説明する。一方、「CM視聴者ターゲティング」では、テレビCM視聴者にデジタルで追加接触を図り、FQを重ねてメッセージの刷り込みを強化したり、態度変容を促したりする。CM視聴回数やデモグラ特性に応じたクリエイティブのパーソナライズ化など、高度なプランニングも可能だ。このようにテレビとデジタルを意図的に連携させることで得られる相乗効果を、同社では「テレデジシナジー効果」と呼び、すでに多くの事例で実証している【図1】。

またTVBridge Adsは配信だけでなく、効果測定においても価値を発揮する。テレビとデジタルをまたぐブランドリフト調査や、テレビCMとデジタル広告接触を勘案した詳細な効果レポートに加え、2025年3月には新たに「テレデジ統合分析レポート」をリリースした。
「テレビだけでは十分なリーチやFQが難しくなる一方で、デジタルに振りすぎても課題は残ります。統合分析によって、各媒体の効果分析から効果最大化のテレビCMとデジタル広告の組み合わせ方、ひいてはそれぞれの最適な予算配分やFQの目安を提示することで、マーケティング全体の改善に繋がる意思決定を支援できます」と有川氏は語る【図2】。今後は来店・購買といったリアル行動データとの連携も予定されている。

今後、同社はCTV領域への展開を加速させていく。2021年から取り組む「ABEMA TV」との連携に加え、2025年2月には「TVer PMP」との接続を開始。今後は新たなプラットフォームとの連携も視野に入れ、既にリリースしているCTV配信に特化したレポート機能のさらなる充実も図る。
「テレビCMの視聴者や、そこから築いたブランド力は企業にとって大切な“資産”です。しかしデジタルとマスの広告予算や担当部門が分かれていると、その資産を十分に活かしきれていないケースも見受けられます。大きく投じたテレビCMの予算で得た成果をどう次につなげるか。デバイスを横断した最適なコミュニケーションの提案で、企業のマーケティング活動全体の最適化、そして事業成果の最大化に貢献したいと考えています」(伊藤氏)。

お問い合わせ
SMN株式会社
E-mail:tvbridge_info@so-netmedia.jp
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