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米国広告マーケティング事情

全米に拡がる『Black Lives Matter』「言葉」より「行動」で差別と闘う企業姿勢を示す

5月25日にミネアポリスで起きた警察官による、アフリカ系米国人ジョージ・フロイド氏殺害事件は、全米に拡がる抗議デモへと発展した。街のあちこちに“Black Lives Matter(黒人の命は大切、以下BLM)”のサインが掲げられ、多くの企業がBLMムーブメントを支援する姿勢を表明している。

“Just Do It.”が“Don’t Do It.”にナイキがタグライン変更し、メッセージ伝える

事件発生からわずか4日後、ナイキは長年愛用のタグラインである“Just Do It.”を逆手に取ったコピー“Don’t Do It.”を使用した動画を配信した。“For Once, Don’t Do it.(今回だけは、しないでください).”で始まる文字だけの動画は、次に続くすべての文章が“Don’t(やめてください)”で始まる。要約すると「アメリカに問題がないふりをするのはやめてください。人種差別に背を向けるのはやめてください。座って静観するのはやめてください。自分が改革の一部になれないと考えるのはやめてください」となっている。

最後に“Don’t”の文字が消え、“Let’s”の文字が現れ「みんなで改革の一部になりましょう」と訴える。驚くことに、この動画が配信された翌日、ナイキのライバル社であるアディダスも「いっしょに前に進もう。いっしょに変革を遂げよう」と述べ、このナイキの動画をリツイートしている。

動画広告の効果測定をするAce Metrix社は、今回のナイキの動画に関する調査を行い、「16歳から49歳の消費者が『他の広告よりも力強いCM』と回答し、高得点を獲得した」と発表した。一方で、「人の死を利用して商品を売るのか」、「言うのは簡単」などの批判的な意見も多く見られたという。Ace Metrix社は「人種問題を語る企業のなかで、ナイキは常にレベルが高い。しかし言葉より行動で消費者に示すべき」と指摘している。

また元広告会社の役員で現コンサルタント兼活動家のシンディ・ギャロップ氏は自身のツイッターで「黒人のスポーツ選手と黒人の消費者から巨額の富を得ている企業にしては、黒人上級役員がひとりもいない。まずはそれを変えるべきだ」とナイキを批判した。さらに、CBSニュースも「ナイキの2019年度における副社長の割合は全体の10%弱が黒人。それでも前年対比2%増でやや改善」と報じた。ナイキCEOのジョン・ドナヒュー氏は役員の黒人起用が不十分であることを認め「最優先事項として当社を正常な形に整えたい」と答えている。

(1)Black Lives Matter

街の至るところで“Black Lives Matter”のサインが掲げられている。

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先進企業の最新事例を現地から松本泰輔氏がレポートします。