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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

PRコンテンツづくりのコツ:「機能」「価格」の先の“ストーリー”を届ける

  • 本田 能隆(博報堂 PR戦略局 PRディレクター)

    PRコンテンツづくりのここがポイント!

  • 読まれる/シェアされる「コンテンツ」を入り口に、その先に企業や商品の情報が伝わるコミュニケーションを考える必要がある。
  • 「フィクション」ではなく「ファクト」をベースにコミュニケーションをつくり上げる。
  • 生活者の関心は、商品そのものというより、その商品が持つストーリーや、手にしたことで得られるライフスタイルの変化へと移っている。

私は広告会社のPRパーソンとして、これまで10数年間、多数のクライアントと向き合ってきました。担当してきたのは、大企業からベンチャー企業まで、実にさまざまです。課題解決の仕方も、その都度変わってきました。

しかし近年、クライアントの規模の大小を問わず、課題解決のコアになる考え方として、「ストーリーを軸にしたPRプラン」を提案することが増えています。ここでは、そのような提案が増えてきた背景と、現在のメディア環境の中で、生活者の心を動かすPRとはどういうものか考えてみたいと思います。

「広告」から「コンテンツ」へ

まずは変化の背景として、マス広告の相対的な影響力の低下が挙げられます。すでに指摘されていることですが、インターネットが登場したことで、生活者が日常的に接する情報チャネルは多様化しました。テレビCMを出稿すれば、即座に認知が広まるといった時代ではなくなってしまったのです。当然ながらマス広告の比率は下がりつつあり、代わりに、デジタルの領域の比率が増えています。

ただ難しいのは、「これからの時代は、ネット広告が有効なんです!」とは単純に言い切れないところにあります。その理由は、スマートフォンとソーシャルメディアの普及です。これまでネット広告でクライアントの商品の認知度を上げようと思えば、多くのアクセスが集中するポータルサイトにバナー広告を出稿することが一般的でした。しかし、ネットへのアクセスの中心がPCからスマートフォンに移ったことで、バナー広告がクリックされにくくなっています。スマートフォンの小さな画面では、バナー広告が「ユーザー体験を悪くする煩わしいもの」と思われているのです。

さらにソーシャルメディアが普及したことで、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなど、複数の巨大なプラットフォームがネット上に乱立する時代になりました。しかもユーザーが見ているタイムラインには次々と情報が送り込まれ、企業の宣伝は、あっという間に「スルー」されてしまいます。企業アカウントをつくって情報発信しても、それが「宣伝」だと見なされたら、残念ながら話題にはなりません。

マス広告もバナー広告も、「枠を買って生活者にアプローチする」という意味では同じもの。しかしソーシャルメディアでは、大前提として面白いコンテンツでなければ、そもそも見てもらえません。笑える、楽しい、役に立つ、考えさせられる……など、読まれる/シェアされる「コンテンツ」を入り口に、その先に企業や商品の情報が伝えられるというコミュニケーションを考える必要があるのです。

「フィクション」から「ファクト」へ

とはいえ、何でもいいから面白いコンテンツをつくれば良いというわけではありません。従来のマスメディアに加え、ソーシャルメディア、ネットニュース、動画サイト……と、生活者が接する情報チャネルは増える一方です。そのため、コンテンツを生み出していく際には、一つのメディア枠に特化した「広告発想」ではなく、複数の情報チャネルを横断的に考える「PR発想」が求められます。

では、PR発想とは何か?それは「ファクト」をベースにコミュニケーションの全体像をプランニングしていくということです。

そもそも、広告とは生活者を夢の世界へと誘う「フィクション」をベースにコミュニケーションをつくり上げる仕事であるのに対し、PRとは客観的な事実、つまり「ファクト」をベースにコミュニケーションをつくり上げる仕事という側面があります。もちろん、フィクションが力を失ったわけではありませんが、圧倒的な情報量と、さまざまな角度からの検証で「ウソ」が分かってしまうネット環境の中にあっては、ファクトがこれまで以上に意味を持ち始めています。そのような状況では、ファクトをベースにしたコンテンツを生み出していくことが必要です。

ただし、PRパーソンは各プラットフォームの特性を理解していないと、それぞれのプラットフォームで響くコンテンツを生み出すことはできません。これまでも …

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テレビCMからソーシャルメディアの投稿まで、消費者との接点が格段に増えたことで、おのずと広告・コンテンツ制作が必要とされる場面も、そのバラエティが広がっています。担当者自らに制作スキルが求められるもの、外部のパートナーのディレクション力が求められるものがありますが、本特集では双方を織り交ぜながら、特にアウトプットの完成度を高める実践的ノウハウ・考え方を解説していきます。