
昨年7〜9月に放送されたドラマ『リッチマン、プアウーマン』。最終回の視聴率は13・2%、有料動画配信でも歴代1位の売上を記録した大ヒットの「月9」をプロデュースしたのが、増本淳さんだ。『救命病棟24時 第3シリーズ』や『白い巨塔』、『コード・ブルー─ドクターヘリ緊急救命─』、など多くのヒット作を世に送り出してきた増本さんに、テレビドラマが持つ魅力や、その企画・制作に寄せる思いを聞いた。
「全力で生きる人のかっこよさ」を視聴者目線でどう伝えるか
趣味だった「ストーリー作り」がそのまま仕事になった
「ストーリー」を作るのが好きで、小学生の頃から、友人たちと物語作りや雑誌作りに取り組んでいたという増本さん。テレビドラマのプロデューサーへの道を進んだきっかけとは。
子どもの頃から、「剣と魔法の世界」、いわゆるファンタジーが大好きでした。小学5年生の時にJ・R・R・トールキンの『指輪物語』を読んで、「こんな物語を自分でも作ってみたい」と憧れたりしていました。その時は、まさかそれを将来の仕事にしようとは思っていませんでしたが、まわりが「ドラゴンクエスト」に夢中になっている中、僕は小学生の頃から、親しい友人たちと雑誌を作ったり、「テーブルトークRPG」で遊んだりと、オタクな遊びをしていました。「テーブルトークRPG」は、ゲーム機を使わず、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ「オフライン型」のロールプレイングゲーム。誰かがストーリーの作り手になり、他のメンバーがそのストーリーの中で動き回るプレーヤーになるのですが、僕はストーリーの作り手になることが多くありました。小学校から大学まで一緒だったある友人に、テレビ局でドラマを制作していると話したところ、「小学生の時から、やっていることは全く変わらないね」と言われました(笑)。
フジテレビに入社して1~2年目は、アシスタントディレクター(AD)としてドラマ制作に参加。目の前の業務をこなすのに精一杯で、何が楽しいのか、将来どうなりたいのかも全く見えないまま、とにかく仕事に忙殺される日々で、毎日「早く辞めたい」と思っていました。しかし、2年目の始めに『救命病棟24時 第2シリーズ』にADとして参加した頃から、意識が変わり始めました。