採用を「点」で終わらせない パナソニック コネクトの接点設計

公開日:2026年8月31日

  • 結城聡顕氏、岸田真由子氏(パナソニック コネクト)

候補者との接点が多様化する中、採用にもマーケティングの視点が欠かせなくなっている。パナソニックコネクトでは、人事とマーケティング部門が連携し、「誰に、何を、どう伝えるか」をともに設計。応募や入社だけをゴールとせず、人と企業がつながり続ける採用コミュニケーションに取り組んでいる。

ーPoint

① 認知度だけでなく「どう認知されたいか」を定め、求める人材に届くメッセージを設計する

② 人事とマーケティングが戦略段階から連携し、深い接点と広い接点の両面から候補者との関係をつくる

③ 応募・入社だけをゴールとせず、コミュニティを通じて将来の採用や協業まで関係をつなげる

認知の「質」を変える

ーまず、採用コミュニケーションにおいて、どのような課題を感じていたのでしょうか。

結城:振り返ると、候補者との接点は大きく変わってきました。新卒採用でいえば、以前は大学の就職課などが企業と学生をつなぎ、企業側のことを知っていれば学生に紹介してもらえる世界でした。それがインターネットの普及によって、自分で企業を調べる時代になった。そうなると、日常的に接点がある企業や身近に感じられる企業から調べてもらいやすくなります。当社のようなBtoB企業は、構造的に不利なところがあります。ですから、まず「そもそも認知されにくい」という課題があります。一方で、単に知ってもらえばよいわけでもありません。「パナソニック」という名前から、「安定していそう」「働きやすそう」といったイメージを持っていただけることはあります。しかし、私たちが採用したいのは、プロフェッショナルとしてチャレンジしていける人材です。そうした人たちに響く「スピード感を持って成長できそう」「グローバルに戦えそう」といったイメージは、まだ十分に形成できていないと感じていました。

ー認知度だけでなく、「どう認知されるか」も重要だということですね。

結城:そうです。社内では以前から「強くて優しい会社」という言い方をしてきましたが、採用という観点では、「優しい」の側面は比較的伝わっている一方で、「強い」の部分はまだ十分に伝わっていない。ブランド調査などを見ても、好感度は高いものの、「事業が強そう」「自分の力を発揮できそう」といった項目には、まだ伸ばす余地があります。応募して、実際に社員と話してもらった人は志望度が高まる傾向があります。つまり、知ってもらえば魅力を感じてもらえる要素はある。だからこそ、そこまでどう連れてくるか、そしてどんな会社として認識してもらうかが重要だと考えています。

会社の姿を正しく伝える

ーでは、どのような情報を伝えるようにしているのでしょうか。

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マーケティング発想で捉え直す採用コミュニケーション

採用サイトや求人媒体、会社説明会だけでなく、SNS、オウンドメディア、社員による発信、さらには生成AIまで。候補者が企業を知り、理解する接点は広がっています。新卒・キャリアといった採用区分だけでなく、リファラルやアルムナイ、そして「今すぐ転職しない人」も、将来の候補者になり得ます。だからこそ重要になるのが、個々の施策から考えるのではなく、「誰に、何を、どう伝えるのか」を起点に、候補者との接点全体を捉えることです。その時すぐに応募へつながらなくても、企業への理解や関心を少しずつ育み、数年後の選択肢になることもある。採用コミュニケーションには、より長い時間軸が求められています。本特集では、「マーケティング発想」を手法ではなく、課題や対象を定め、接点を設計し、社内で連携しながら実行・改善するための思考プロセスとして捉えます。人事と広報・マーケティングの連携、企業ならではの体験や物語、AI時代の情報設計などから、これからの採用コミュニケーションを考えます。

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