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広報担当者の事件簿

ホテルで発生した爆発事件広報に迫られる危機対応〈第二編〉

    【あらすじ】

    ホテルシーサイドマリーナ木更津で働く白坂ひろみは、帰省のために向かった空港で、勤務先で爆発が起きたことを知る。その頃、現場では宿泊サービス課責任者の神原巧太郎や広報課長の名城亮介が対応に追われていた。白坂は、ホテルの玄関ですれ違った客から火薬の匂いがしたことを、メッセージで名城に報告した。

    危機管理という言葉の重み

    空の遥か遠くがオレンジ色に輝いていた。眼下には富士山が見下ろせるはずだが闇に消えている。離陸直前に報道されたニュース速報で知った爆発。スマホの画面には勤務先である “ホテルシーサイドマリーナ木更津” の名が出ていた。

    今ごろ、警察や消防はもちろん、メディアも大挙しているに違いない。みんなどうしているだろうか。機上の人となった白坂ひろみにはどうすることもできない。「茉由……」ホテルを出る前に、同僚で親友でもある酒井茉由と交わした笑顔が浮かんでくる。「大丈夫なんだろうか…」


    羽田空港を飛び立ってから20分ほどしか経っていない。佐賀空港に着陸するまでまだ一時間以上ある。これほど時の経過をもどかしいと思ったことはない。爆発が起きたのは午後6時33分と報じられている。すでに1時間30分が過ぎていた。久しぶりに母親の手料理を食べられると楽しみにしていた休暇だったが、頭の中は爆発のことでいっぱいだ。

    広報担当なのに現場にいない自分を責めてしまう。機内で映像が流れはじめた。ニュース映像のようだ。白坂はその時はじめて、ホテルが炎に包まれている映像を目の当たりにした。座席のジャックにイヤホンを差し込み音声を聴く。

    “本日午後6時33分、千葉県木更津市にあるホテルシーサイドマリーナ木更津で爆発がありました。この爆発で宿泊客7人、従業員3人の計10人が死亡し、34人が負傷しました。現在、消防による消火活動が行われていますが、ご覧の映像のように鎮火には至っていません。ホテルシーサイドマリーナ木更津は客室数が300以上の大型ホテルで、週末は毎週のように賑わう千葉県内でも有数のリゾートホテルです” アナウンサーが二度原稿を繰り返した。

    画面がスタジオに切り替わると、元東京消防庁職員で爆発対応を専門にしていたという人物が解説をはじめる。“火災によるいたましい事故は都内の赤坂にあったホテルニュージャパンの火災が有名だが、これほどの規模の爆発は今までなかったのではないか” と驚きをもって紹介している。映像を観た白坂はショックのあまり何も考えられずにいた。…

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