双方向コミュニケーションの重要性は、長く語られてきた。いま広報に求められるのは、社外の声を受け取り、社内でめぐらせ、次の判断や発信へとつなげていくことだ。この「循環」をどう捉え、組織として回していくべきか。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会の高橋啓一氏が解説する。
パブリックリレーションズは、双方向コミュニケーションが重要と長く言われてきました。広告が人の心に刺さるものを追求していくことに対し、広報は社会が何を必要としているかを聞き、その変化に合わせていく。いわば「2way」です。そこには、情報がめぐり続けるという概念までは含まれていなかったかもしれません。
いまはメディアだけでなく、ソーシャルメディアや株主・投資家など、多方面から情報を受け取り、咀嚼しなければならない時代です。インプットとアウトプットの機会が多方面に広がった以上、単純な行き来では十分ではありません。人間の体で言えば、さまざまな方向から入ってきたものを取り込み、咀嚼し、また外に出していく。ホメオスタシス(恒常性)のように、全体を回していく感覚が必要です。その意味で、いまの広報の役割を「循環」と捉えることができると思います。
では、循環の先に何を目指すのか。日本パブリックリレーションズ協会の倫理綱領は、パブリックリレーションズの中心となるものを「相互理解と合意形成、信頼関係を深めるためのコミュニケーション」と定めています。対立ではなく、相互理解と合意形成です。こうして考えると、PRが重視してきた関係づくりを、現在の情報環境に即して捉え直す言葉のひとつが「循環」だと言えるのではないでしょうか。
発信の「前」にセンサーを
広報の仕事は、発信して終わりではありません。ただ、私がまず強調したいのは、発信の「先」よりも「前」です。PRパーソンは、発信する前から世の中にアンテナを張っている必要があります。事業の状況だけではなく、規制や市場の動きに加え、世論や生活者の感情、ブランドが社会でどう受け止められているかなども見るべきです。そのためには、こうした変化に敏感であるための...


