広報のソーシャルメディア攻略 Part1 アルゴリズムの時代に“刺さる”投稿とは?

公開日:2026年6月30日

  • 山口真一氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)

検索やフォローといった能動的な探索から、レコメンドによる受動的な提示へと移り変わったSNS。今、広報に求められるのはアルゴリズムに見つけてもらう設計だ。変化に柔軟に対応し、出会った人々を新たなファンに育てる仕組みを紐解く。

POINT

① SNSの影響力はフォロワー数ではなく、コンテンツ単位の評価が大きい
② 短期の成果や固定的なターゲットに振り回されず、中長期資産となるコンテンツの蓄積を設計
③ すべてのチャネルに「乗り込む」のではなく、目的に合うか「見極める」視点

現在のSNSは、「フォロワーとのつながりを基盤とするメディア」から、「アルゴリズムが選んだコンテンツとの出会いを基盤とするメディア」へと、構造を大きく変えてきていると感じます。TikTokのおすすめが象徴的ですが、Instagram、YouTube、Xのいずれも、ユーザーがフォローしていないアカウントの投稿が推奨枠に大量に流れ込む設計になっています。

この変化は、企業広報にとって大きな意味を持っています。これまでは、地道にフォロワーを増やし、その人たちに情報を届ければ良かった。逆に言えば、フォロワー数こそが影響力の代理指標でした。しかし今は、数十万フォロワーを抱えていても、アルゴリズムに選ばれなければ自社の投稿はあまり届きません。逆に、フォロワーがほとんどいないアカウントでも、1本のコンテンツが数百万回再生される可能性があります。発信者の影響力が、固定的なストック型から、コンテンツ単位のフロー型に変わったと言えます。

もう一つの重要な変化は、ユーザーの情報接触が「能動的な探索」から「受動的な提示」へと移ったことです。検索やフォローといった能動行為に基づく接触から、アルゴリズムが「あなたが見たがる情報」を差し出してくる接触へと変わりました。

以上を踏まえると、広報が問うべきは、「届けたい人にどう届けるか」だけでなく、「アルゴリズムに見つけてもらえるコンテンツをどう設計するか」、そして「アルゴリズム経由で出会った人をどう自社の継続的なファンに育てるか」になっています。一方、フォロワーやユーザー同士のネットワークも引き続き重要なので、両方を踏まえての広報戦略が大切になると...

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アルゴリズム支配時代のソーシャルメディア戦略

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、その名の通り、もともと「人とのつながり」、つまり「フォローしてもらうこと」を前提に設計されてきました。しかし今、その前提が崩れています。プラットフォームの主役は、ユーザーが選んだフォロー関係ではなく、アルゴリズムが導き出す「おすすめ」です。フォロワーがほとんどいないアカウントの投稿が大きな広がりを見せることもある一方、数十万のフォロワーを抱えていても、思うように情報が届かないこともあります。この変化は、企業広報の現場に新たな難しさをもたらしています。投稿しても届かない。フォロワー数という指標だけでは、活動の成果を測れない。何を目指し、何を指標に運用すべきか、輪郭をつかみにくくなっている――そんな声も少なくありません。ショート動画や生成AIの普及によって情報の流通速度がさらに増す中、企業がコントロールできない情報拡散への備えも、これまで以上に問われています。情報流通そのものの構造が変わったいま、本特集ではSNSをより広く「ソーシャルメディア」として捉え直し、企業がそれを広報戦略のどこに位置付け、企業への理解や信頼をどう築いていくのかを、有識者の知見や各社の実践を通じて、考察します。

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