社員SNSは、企業広報の代弁者ではない 広告不信の時代に、顧客に届けるコツとは?

公開日:2026年7月01日

  • 片岡英彦氏(東京片岡英彦事務所)

新たなブランディング手法として注目が集まる社員によるSNS発信。一方で、“公式の代用品” や、“無料で使える広告枠”として捉えると失敗してしまうことも……。企業の言葉が届きにくくなった今だからこそ、社会との関係を組み直す実務のあり方を考えたい。

企業の公式SNSでの発信は、以前ほど素直に届かなくなっています。広告はスキップされ、公式投稿はアルゴリズムの中で埋もれる一方で、生活者は「実際に働く人の言葉」に反応するようになってきています。ただし、社員SNSを「公式アカウントの代わり」と考えると失敗しかねません。社員発信は、拡散装置ではなく、企業と社会の接点を増やすための信頼形成の仕組みであると心得ましょう。

社員SNSが担う役割

社員SNSを考える時に、最初に捨てなければならないのは、「SNSをどう活用するか」という発想です。X、LinkedIn、Instagram、noteなどのチャネル設計は必要ですが、それだけでは広報の企画としてはまだまだ浅いでしょう。社員SNSの本質は、企業が社会からどのように認識されるかを、もう一度組み直す点にあるからです。

私自身、かつて企業の広報やマーケティングPRの現場にいた時、「企業として何を発信するか」を中心に考えていました。新商品、メディア露出、広告との連動は今でももちろん重要です。しかし、広報の現場に長くいるほど実感するのは、企業が自分で語る言葉は、どうしても一方通行にしか受け取られないということでした。

公式...

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アルゴリズム支配時代のソーシャルメディア戦略

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、その名の通り、もともと「人とのつながり」、つまり「フォローしてもらうこと」を前提に設計されてきました。しかし今、その前提が崩れています。プラットフォームの主役は、ユーザーが選んだフォロー関係ではなく、アルゴリズムが導き出す「おすすめ」です。フォロワーがほとんどいないアカウントの投稿が大きな広がりを見せることもある一方、数十万のフォロワーを抱えていても、思うように情報が届かないこともあります。この変化は、企業広報の現場に新たな難しさをもたらしています。投稿しても届かない。フォロワー数という指標だけでは、活動の成果を測れない。何を目指し、何を指標に運用すべきか、輪郭をつかみにくくなっている――そんな声も少なくありません。ショート動画や生成AIの普及によって情報の流通速度がさらに増す中、企業がコントロールできない情報拡散への備えも、これまで以上に問われています。情報流通そのものの構造が変わったいま、本特集ではSNSをより広く「ソーシャルメディア」として捉え直し、企業がそれを広報戦略のどこに位置付け、企業への理解や信頼をどう築いていくのかを、有識者の知見や各社の実践を通じて、考察します。

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