今、改めて問うメディアリレーションの意義 企業の「無形資産」としての価値とは

公開日:2026年4月02日

  • 林 直樹 氏(公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会)

AIの台頭や企業の社会的責任への関心の高まりといった変化の中で、メディアリレーションはどのような意味を持ち、広報パーソンはどのような価値を発揮していくべきなのか。日本パブリックリレーションズ協会で常務理事を務める林直樹氏に、その本質から未来までを聞いた。

    Point

    ①メディア自身もステークホルダーだが、他への媒介機能を持つ点で、重要な役割を持つ

    ②第三者による客観的な評価であるメディアの報道は、人や社会の行動変容に今後さらに影響する

「広告換算」の是非

─まず、メディアリレーションとは、何を示す概念なのでしょうか。

当然ながら、新聞記事は新聞記者が作るべきものです。その記者が編集しやすいように、企業がプレスリリースという形で情報提供するようになったのがメディアリレーション始まりです。そこからパブリシティという言葉が生まれました。

PR、すなわちパブリックリレーションズが、企業や団体がステークホルダーと長期的に良好な関係を構築するものである以上、メディアリレーションは、その重要なステークホルダーのひとつであるメディアを介して、他のステークホルダーにも有効に情報を伝えるための手段と言えます。メディアは、企業を取り巻く数あるステークホルダーのひとつですが、他のステークホルダーへの媒介機能を持つという点で、極めて重要な役割を担っているのです。

─一方で、日本ではメディアリレーションが「露出獲得活動」として矮小化されがちだという指摘もあります。これはなぜなのでしょうか。

これには諸説ありますが、日本の歴史的背景が大きく影響しています。1950年代、PRの普及が始まった草創期には様々な活動が積極的に行われました。しかし、その成果を測る指標として「広告換算方式」が採用されてしまったのです。

折しも、日本は高度経済成長期に突入しました。この時代、広告ほど効率の良いコミュニケーション手法はなかったのです。テレビや新聞といったマスメディアが全国津々浦々にネットワークを張り巡らせ、国民に一斉に情報を届けることができました。その背景には、日本における新聞発行部数の多さもあったでしょう。

世界的に見ても日本は広告効...

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ストーリーをつむぐメディアリレーション

企業が社会と向き合ううえで、メディアとの関係は今も重要な接点のひとつです。しかし、メディア環境が大きく変化するなかで、単に取材を獲得することだけでは、広報活動の価値を十分に捉えることはできなくなりつつあります。ニュースはどのように生まれ、どのような文脈の中で記事として形づくられていくのでしょうか。企業が発信する情報と、メディアが伝えるストーリー。その接点にあるのがメディアリレーションです。広報活動において、取材の実現は大切な成果です。しかし、それはゴールではありません。露出に至るまでの情報設計、記事化の過程、そして露出の後に続く関係。こうした一連のコミュニケーションの積み重ねが、企業と社会の関係を形づくっていきます。そこで本特集では、「ストーリーをつむぐ メディアリレーション」をテーマに、寄稿やインタビュー、事例を通して、メディアとの関係をコミュニケーション全体のプロセスとして捉える視点を提示します。

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