AIの台頭や企業の社会的責任への関心の高まりといった変化の中で、メディアリレーションはどのような意味を持ち、広報パーソンはどのような価値を発揮していくべきなのか。日本パブリックリレーションズ協会で常務理事を務める林直樹氏に、その本質から未来までを聞いた。
Point
①メディア自身もステークホルダーだが、他への媒介機能を持つ点で、重要な役割を持つ
②第三者による客観的な評価であるメディアの報道は、人や社会の行動変容に今後さらに影響する
「広告換算」の是非
─まず、メディアリレーションとは、何を示す概念なのでしょうか。
当然ながら、新聞記事は新聞記者が作るべきものです。その記者が編集しやすいように、企業がプレスリリースという形で情報提供するようになったのがメディアリレーション始まりです。そこからパブリシティという言葉が生まれました。
PR、すなわちパブリックリレーションズが、企業や団体がステークホルダーと長期的に良好な関係を構築するものである以上、メディアリレーションは、その重要なステークホルダーのひとつであるメディアを介して、他のステークホルダーにも有効に情報を伝えるための手段と言えます。メディアは、企業を取り巻く数あるステークホルダーのひとつですが、他のステークホルダーへの媒介機能を持つという点で、極めて重要な役割を担っているのです。
─一方で、日本ではメディアリレーションが「露出獲得活動」として矮小化されがちだという指摘もあります。これはなぜなのでしょうか。
これには諸説ありますが、日本の歴史的背景が大きく影響しています。1950年代、PRの普及が始まった草創期には様々な活動が積極的に行われました。しかし、その成果を測る指標として「広告換算方式」が採用されてしまったのです。
折しも、日本は高度経済成長期に突入しました。この時代、広告ほど効率の良いコミュニケーション手法はなかったのです。テレビや新聞といったマスメディアが全国津々浦々にネットワークを張り巡らせ、国民に一斉に情報を届けることができました。その背景には、日本における新聞発行部数の多さもあったでしょう。
世界的に見ても日本は広告効...


