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社会に広がるPRの力2019

50年ぶりに黒字化の千葉ロッテ ファンづくりを支えたSNS戦略とは

2018年、リーグ5位にもかかわらず過去最多の観客動員数を達成した、千葉県のプロ野球チーム「千葉ロッテマリーンズ」。そのカギとなるリピーターの増加を支えた広報のSNS戦略を探った。

千葉ロッテマリーンズ 広報メディア室 室長 梶原紀章(かじわら・のりあき)氏
1976年生まれ。大阪府出身。関西大学卒業後、サンケイスポーツ記者としてオリックス、阪神を担当。6年間の記者生活を経て、2005年に千葉ロッテマリーンズに入社。第1回WBCで日本代表広報担当として世界一を経験。現役球団広報ながら千葉日報社などで連載3本を持つ。著書に『千葉魂―マリーンズ挑戦の日々』(千葉日報社)がある。

photo/杉能信介

千葉ロッテマリーンズ 広報体制
広報担当 3人
業務範囲 メディアリレーション、SNS運用、広告制作
目的 千葉ロッテのファンおよび観客動員数増加、ロッテグループ内における広告塔の役割

スポーツチームにおける広報といえば、選手への取材に対応するメディアリレーションや危機管理広報のイメージが強い。しかし近年では、持続的な組織に必要な「ブランディング」や「ファンづくり」などの課題に対して戦略的な広報活動でアプローチするチームが出てきた。

そのひとつが千葉県に本拠地を置くプロ野球チーム「千葉ロッテマリーンズ」(千葉ロッテ)である。12球団の中で下から2番目にファン数が少ないとされているチームで、年々プロ野球ファンが減少する中、2010年以降は日本一からも遠ざかり、危機感を感じるようになっていた。

そのため、ファンの増加が全社的な課題になった。事業本部では、ファンクラブ会員増加のための施策として顧客データの活用や行政との連携を実施し、2017年には前年比140%増を達成。さらに、限定ユニフォームの無料配布や選手と触れ合える「マリンフェスタ」を月1で開催するなどのファンサービスも充実させた。

広報室では、2014年にYouTubeとTwitter、2018年にInstagramをそれぞれ本格化。動画や写真などでファンの心をつかんできた。中でもTwitterは、フォロワー数約75万人の人気アカウントに成長している。

これらの取り組みの結果、2018年のシーズンで観客動員数が約166万5000人と過去最多を記録。同年12月の決算では、50年前にロッテホールディングスが球団経営に携わって以来初の黒字となった。

本塁打を打った後に喜びながらベンチに戻ってくる選手の様子を撮影したり、グラウンドで試合前の選手の写真を撮ったりと、常に選手に密着している。

カギはリピーターの醸成

そんな千葉ロッテの広報を管轄するのが、2005年にスポーツ紙の記者から広報担当へと転身した梶原紀章氏(広報メディア室 室長)。同氏によると、広報が最終的に目指すのは、親会社であるロッテホールディングスのイメージアップ、つまり"魅力ある球団を持つ企業"としてのブランディング。そして自社内から求められているのは、前述の通り"ファンの増加"である。広報効果が測定しにくいことから、数値目標は設定していない。

対外発信のためのメディアとして➊マスメディア露出(寄稿含む)➋オウンドメディア(SNS・ウェブサイトなど)➌広告 ➍選手個人のSNS、を持っており、広報室では2人の室員ともに、主に➊~➌を管理・運営している。中でも最も効果を発揮しているのがSNS。媒体特性に合わせてターゲットや投稿内容を変えて使い分けてきた。

一般に、スポーツチームにおけるファンづくりの課題は①潜在ファンを観戦に導くこと ②一度観戦に来た客をリピーターにすること ③コアファンの体験向上、の3つがあるが、千葉ロッテが重視しているのが②と③。その理由は「球場が駅から徒歩15分という比較的アクセスの悪い場所にあるため、気軽に立ち寄ってくれる人をたくさん呼び込むというよりは、何度も通ってくれるファンを増やす必要があるから」 …

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広報とは社会との合意形成を担う仕事です。近年は適時開示が求められる上場企業のみならず、中小規模の企業や団体、学校法人や医療法人、NPO・NGOなどにも広報の活動は広がっています。今ではあらゆる組織体に、広報の力は欠かせません。平成から、「令和」へ。ますます広がるPRの力を駆使し、独自のフィールドで社会課題を解決したり、社会との接点を広げたりと活躍しているキーパーソンへのインタビューをお届けします。

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