誰もが情報発信者となれる時代において、メディアリレーションの価値があらためて問い直されている。情報の信頼性が問われる現代だからこそ、メディアとの関係構築は広報活動に新たな価値をもたらす。メディア露出の本質的な意義と、戦略的な活用方法について再考する。
近年、広報の環境は目覚ましく変化しています。その背景には、情報の“主導権”が企業から生活者へと移行しつつあるという大きな潮流があります。
従来、企業はプレスリリースや広告を通じてマスメディアに情報を提供し、生活者へ間接的に届けることが主流でした。しかし、現在ではSNSやオウンドメディア、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の普及により、状況は大きく様変わりしています。
生活者は自ら積極的に情報を検索・共有し、さらには発信者にもなれる時代です。企業の情報発信はもはや一方通行ではなく、生活者との双方向のコミュニケーションへと進化しています。この変化に対応するために、企業の広報活動にも新たな戦略が求められています。
メディアリレーションは必要か?
このような変化の中で、「そもそもメディアリレーションは必要なのか?」という問いが浮かび上がります。
総務省の「令和6年版 情報通信白書」(図1)によると、日本人の多くがオンラインでニュースを得る際、「ニュースサイト・アプリからのおすすめ情報を見る」(65.7%)、「SNSの情報を見る」(44.5%)という行動をとっています。つまり、従来のマスメディアへの依存度は相対的...