WOMマーケティングにおける「関係性明示」
1.情報発信者に対し、WOMマーケティングを目的とした、重要な金銭・物品・サービス等の提供が行われる場合、マーケティング主体と情報発信者の間には「関係性がある」と定める。関係性がある場合には、その関係性は情報受信者が容易に理解できる方法で明示されるべきである。
2.関係性がある場合には、情報発信者に対し原則として関係性明示を義務付けなければならない。義務付けることが極めて難しい合理的な理由がある場合には義務付けなくてもよいが、その場合でも関係性が明示されるよう最大限の努力を行わねばならない。
3.関係性の明示の際には、WOMマーケティングのマーケティング主体の名称と、情報発信者への金銭・物品・サービス等の提供の有無は示されるべきである。金銭・物品・サービス等の提供の内容についても、詳細に示されることが望ましい。
出所/WOMマーケティング協議会「WOMJガイドライン」2012年
*太字による強調は編集部による
マーケティング論や消費者行動論においては近年、「消費者間の相互作用」と呼ばれる領域が注目を集めている。
広告はもちろんテレビや新聞の影響力も以前に比べると、ずっと低下していると言われる。そうした中で、この「消費者間の相互作用」をマーケティングに活かそうとする試みは、数多くなされてきた。消費者間の相互作用は一般にはクチコミと呼ばれているが英語ではWOM(ウォム=Word of mouth)と言われるので、こうした試みを「WOMマーケティング」と呼ぶ。
このWOMマーケティングは、現在では無視できない存在だ。だが、長い歴史を持つマスマーケティングに比べると、まだまだ成長過程であり、試行錯誤が繰り返され、そのスタンダードは定まっているとは言いがたい。しかし一方で、業界内に、それ相応の知見は溜まってきている。
そういった知見のもと、ここでは広報・PRの仕事に携わる読者の方々に改めて、WOMマーケティングやクチコミの意義や活用上の心構えについて述べていきたい。
「操作されていない」はずの情報
消費者がクチコミを重要視する傾向は、なぜ起こるのか?その本質は、クチコミが「操作されていない」情報だからである。あるいは、その「はず」だからだ。
私は広告会社勤務時代に長年広告づくりに携わってきたが …