企業の軸となる理念、創業精神。それをもとに積み重ねた歴史、目指す未来。一言で伝えきれない大切なメッセージをどう伝え共感を得ているのか。企業ミュージアムの注目展示を見ていこう。
SPOT 01
先人の言葉から「こころざし」を伝える
TOTOミュージアムの第2展示室「TOTOのこころざし」では創立者をはじめとした先人のパネルとその想いが展示されている。入ってすぐ目に入るのは創立者の初代社長・大倉和親から二代目社長・百木三郎に送られた書簡。
「どうしても親切が第一」から始まる。「良品の供給、需要家の満足が掴むべき実体」とあり、創立当時より顧客満足を経営の基本であると考えていたことを伝えている。また、現在も先人の想いが企業活動全体に息づいていることを、「(商品を)生み出す」「(商品を)作る」「(価値を)伝える」「(TOTOとお客様を)つなぐ」という商品のライフサイクルのステップごとにパネルや展示品を通して紹介している。


第2展示室後半にある「水まわり商品の進化」では、トイレや浴槽、キッチンなど歴代商品を並べて展示し、その進化を伝えている。

水まわり文化の歴史とともに、TOTOが生活文化の向上に貢献してきた軌跡と製品を展示することで記憶に残るよう工夫している。
福岡県・北九州市
TOTOミュージアム
創立100周年を記念し、創立の地からブランドを発信し、ステークホルダーとの接点をはかる場として2015年につくられたTOTOミュージアム。会社にとって後世に残すべき資料を保管するという目的も。下水道が未整備の時代から「豊かで快適な生活文化を創造」してきた自社の歴史に加え、水まわり商品の進化を伝えている。かつてのトイレ空間を再現した展示を懐かしみ、会話が盛り上がる来館者の姿も見られる。

館の形態:本社敷地内
来館者の平均滞在時間:60分
所蔵品数:約1000点 バーチャルツアー有
SPOT 02
チャレンジの大切さ伝えるシアター
子どもたちにチャレンジの大切さを伝えるヤンマーミュージアム。最初のコンテンツは大画面のシアターで、ヤンマー創業の歴史や世界で初めてディーゼルエンジンを小型実用化した創業者のチャレンジをテンポよくアニメ化。放映が終わりシアターの中央が開くと、体験型コンテンツのエリアが広がり来館者からは歓声も。
展示エリアでは小型実用化したディーゼルエンジンHB形の実物が見られる。これは創業者が大事にしていた「自ら動き出す」こと、「あきらめずに工夫する」ことを体現した近代化産業遺産だ。


2階展示エリアにある「ディーゼルエンジンHB形」。
滋賀県・長浜市
ヤンマーミュージアム
創業100周年を機に創業者生誕の地に建設を開始し2013年オープン。2019年に未来の社会を担う子どもたちが体験しながら学べるチャレンジミュージアムとしてリニューアルした。体験エリアでは、農業や漁業、エンジンの仕組みなどに関連したコンテンツを...