ソーシャルメディアをめぐる企業コミュニケーションの前提が、ここ数年で大きく揺らいでいます。フォロワーを積み上げ、投稿のたびにリーチを稼ぐという発想は、もはや有効ではないという声が、海外の調査・レポートでも相次いで指摘されるようになってきました。アルゴリズムが情報流通の主役となったいま、企業の発信設計はどう変わりつつあるのか。世界の動向を俯瞰してみます。
世界の企業・マーケターを対象に毎年トレンドレポートを公表するカナダのSNS管理企業Hootsuiteは、2026年版の「Social Media Trends」で近年のソーシャルメディアにおける変化を端的に言い表しています。「フォロワー数とエンゲージメント率は、もはやソーシャルメディア上の影響力を示す信頼できる指標ではない」というのです。代わりに世界の先進的な企業が重視しはじめているのは、ストーリーテリングの質、オーディエンスとの価値観の一致、そして投資対効果(ROI)とされています。
背景には、AI生成コンテンツの急増があります。
例えば、米国のマーケティングソフトウェア企業HubSpotが世界1500名超のマーケターを対象に実施した「State of Marketing 2026」(2025年9月調査)によれば、約94%のマーケターが2026年のコンテンツ制作にAIを活用することを計画していると回答しています。
大量生産が容易になるほど、量だけを追った発信の価値は下がっていく。こうした逆説が、世界の企業コミュニケーション担当者の間で...

