社内コミュニケーション施策では定番の「従業員エンゲージメント」。一方で、その言葉だけが独り歩きし、満足度向上やスコア改善そのものが目的化してしまうケースも少なくない。数字だけでは測れない“自社を語れる社員”をどう育てるか。改めて本質を見つめ直したい。
Point1
エンゲージメントは満足度ではなく、自ら組織に貢献しようとする状態を指す
Point2
スコアに振り回されず、ありたい組織像から逆算して測定・改善を設計
Point3
AI時代では、自社の良さを生の言葉で語れる社員を生み出すことが重要
エンゲージメントという言葉は今や広く使われるようになりましたが、“満足度”と混同されているケースが非常に多いと感じています。
実際の「エンゲージメントが高い」状態とは、自分の仕事や組織に対して意味や価値を感じながら、自ら進んで貢献しようという意欲が生まれている状態です。その土台には、企業と従業員の間にしっかりとした信頼関係があること、そして個人が組織に対して愛着心(=コミットメントしたいという気持ち)を抱いていることがあります。行動面で言えば、指示がなくても組織の目標に沿った判断や行動ができる、困難な状況でも粘り強く取り組む、同僚を自発的に支援する、そして自社の良さを外の人に自分の言葉で語れる。こうした姿がエンゲージメントの高い状態として現れてきます。
逆に低い状態では、言われたことはやってもそれ以上はしない、つまり受動的になっていく。この違いは組織の成果に直結します。
共感が行動に結びつかない理由
MVVなどの経営理念に社員が共感していても、実際の行動に結びついていない。そんなギャップに悩む企業は少なくありません。このギャップが生まれる要因は、大きく3つに整理できると思っています。
1つ目は、経営が発信するメッセージの抽象度が高すぎることです。「いい話だね」とは思っても、それが実際の行動につながるまでには相当な距離があります。その間をつなぐ人がいない、あるいはつなぐ仕組みがない。そうなると、メッセージはいつまでも“お題目”のままで、現場には浸透していきません。
2つ目は、その翻訳役を担うはずの中間管理職が、理念を体現できていないケースです。管理職が率先垂範していなければ、一般社員にまで届かないのは当然のことです。
3つ目は、組織の一部では体現されていても、全体レベルにはなっていないという状況です。たとえば、「うちは地方拠点や工場があるので現実的に無理」といった言い訳が蔓延してしまうと、経営のメッセージはどうしても形骸化してしまいます。
本当に共感が浸透しきっていれば、行動につながっていくはずです。上手くいかないのは、経営サイドの問題なのか、中間管理職の問題なのか、環境条件の問題なのか。そこを丁寧に見極めることが大切です。
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