PRの仕事に、いまどのような力が求められているのか。PRアワード2026と2026 66th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのPR部門、それぞれの審査委員長が、世界の潮流や審査の視点を手がかりに、PRならではのクリエイティビティと、アワードが果たす役割を語った。
PRアワード2026
審査委員長
田上智子氏
たがみ・ともこ シナジア 代表取締役。P&G日本法人にて、ブラン ドマーケティング、ブランド PR、企業広報を担当。その後、株式会社資生堂 チーフコーポレートコミュニケーションオフィサーに就任。2024年9月、シナジアを創業。
2026 66th ACC
TOKYO CREATIVITY AWARDS PR部門
審査委員長
伊東由理氏
いとう・ゆり LINEヤフー 執行役員 コーポレートコミュニケーションCBUリード。リクルート(現 リクルートHD)にて、広報部長、広報ブランド推進室長等を歴任。2019年よりヤフー。2020年よりZホールディングス 執行役員、2022年よりLINE株式会社執行役員も兼任し、2023年10月より現職。
博報堂
執行役員
嶋 浩一郎氏
しま・こういちろう 博報堂 執行役員/エグゼクティブクリエイティブ・ディレクター。PRと広告を統合した多数のキャンペーンを実施。PRSJ「PRアワード」の審査委員長、ACCではPR部門審査員。カンヌライオンズにおいてもPR部門審査員を3回務めている。
鼎談の様子。
大胆さを支える「賢さ」
嶋:まず、2026年6月のカンヌライオンズから振り返りたいと思います。日本からの参加者はかなり多かった一方で、PR部門では日本の作品がショートリストに残りませんでした。田上さんは、海外の作品を見ていてどう感じましたか。
田上:海外には、一歩踏み出すような大胆さや勇敢さ、胆力がある。カンヌでは、そうした姿勢が評価されているように思います。
嶋:ユーモアもひとつのキーワードでしたね。象徴的だったのが、ネスレの「THE KitKat HEIST」です。輸送中のキットカット約40万本が盗まれるという危機を公表し、製造番号から正規品かどうかを確認できる仕組みまでつくった。危機対応でありながら、生活者を巻き込み、エンターテインメントにもしていました。
伊東:事業会社の立場からすると、リスクが起きた時に、あそこまで踏み込んで、しかもユーモアを持ってコミュニケーションするのは簡単ではありません。真摯に対応することはもちろんですが、そのうえで大胆な一歩を踏み出していることに驚きました。
田上:この事例を担当した方に話を...

