世界の企業は何を重視しているのか 海外調査に見るソーシャルメディアの変化

公開日:2026年7月02日

ソーシャルメディアをめぐる企業コミュニケーションの前提が、ここ数年で大きく揺らいでいます。フォロワーを積み上げ、投稿のたびにリーチを稼ぐという発想は、もはや有効ではないという声が、海外の調査・レポートでも相次いで指摘されるようになってきました。アルゴリズムが情報流通の主役となったいま、企業の発信設計はどう変わりつつあるのか。世界の動向を俯瞰してみます。

世界の企業・マーケターを対象に毎年トレンドレポートを公表するカナダのSNS管理企業Hootsuiteは、2026年版の「Social Media Trends」で近年のソーシャルメディアにおける変化を端的に言い表しています。「フォロワー数とエンゲージメント率は、もはやソーシャルメディア上の影響力を示す信頼できる指標ではない」というのです。代わりに世界の先進的な企業が重視しはじめているのは、ストーリーテリングの質、オーディエンスとの価値観の一致、そして投資対効果(ROI)とされています。

背景には、AI生成コンテンツの急増があります。

例えば、米国のマーケティングソフトウェア企業HubSpotが世界1500名超のマーケターを対象に実施した「State of Marketing 2026」(2025年9月調査)によれば、約94%のマーケターが2026年のコンテンツ制作にAIを活用することを計画していると回答しています。

大量生産が容易になるほど、量だけを追った発信の価値は下がっていく。こうした逆説が、世界の企業コミュニケーション担当者の間で...

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アルゴリズム支配時代のソーシャルメディア戦略

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、その名の通り、もともと「人とのつながり」、つまり「フォローしてもらうこと」を前提に設計されてきました。しかし今、その前提が崩れています。プラットフォームの主役は、ユーザーが選んだフォロー関係ではなく、アルゴリズムが導き出す「おすすめ」です。フォロワーがほとんどいないアカウントの投稿が大きな広がりを見せることもある一方、数十万のフォロワーを抱えていても、思うように情報が届かないこともあります。この変化は、企業広報の現場に新たな難しさをもたらしています。投稿しても届かない。フォロワー数という指標だけでは、活動の成果を測れない。何を目指し、何を指標に運用すべきか、輪郭をつかみにくくなっている――そんな声も少なくありません。ショート動画や生成AIの普及によって情報の流通速度がさらに増す中、企業がコントロールできない情報拡散への備えも、これまで以上に問われています。情報流通そのものの構造が変わったいま、本特集ではSNSをより広く「ソーシャルメディア」として捉え直し、企業がそれを広報戦略のどこに位置付け、企業への理解や信頼をどう築いていくのかを、有識者の知見や各社の実践を通じて、考察します。

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