大切なのは「Love you」の気持ち AI時代に人々に届くプレスリリースとは?

公開日:2026年3月31日

  • 小暮桃子 氏(PR TIMES)

広報担当者にとって日常業務であるプレスリリース。しかし、情報があふれる今、その役割はメディア向けの告知にとどまらず、生活者やAIまでを見据えた設計が求められている。“当たり前の業務”になってしまっている今こそ、その価値を再定義したい。

プレスリリースを作成することにおいて、根底にある重要なことは何でしょうか。この問いに対して、私たちは社内で「Love You」という言葉をよく使います。プレスリリースとは、届ける相手に「Love You」を伝えること。言い換えれば、その情報が、相手にとって伝わるものになっているか。私たちはお客さまと対話する際にもこの点を非常に大切にしています。

広報や宣伝活動というと、「私を知ってほしい」「私を見てほしい」という「Love Me」の側面が強いと認識されがちです。もちろん、それもプレスリリースの重要な役割のひとつではあります。しかし、当社が重要と考えているのは、「私を好きになって」とアピールする以上に、「あなたのことが好きです、大切に想っています」という気持ちが読み手にきちんと伝わるかどうか、という視点です。

言い換えるならば、「受け手に対する想像力を限界まで働かせる」ということでしょうか。情報を受け取る相手が何を求めているのか、どうすればポジティブな感情、例えば喜びなどを感じてもらえるのか。そこを突き詰めて情報発信ができるかどうかが、プレスリリースにおいては非常に重要だと考えています。これは単なるテクニック論以上に、相手に受け取ってもらいやすくするための“情報のホスピタリティ設計”と言うべきもので、これからの時代にますます重要になってくると感じています。

10年でリリース内容も変化

前述のホスピタリティ設計が重要になる背景には、近年のプレスリリースを取り巻く環境の大きな変化があります。特にここ5年ほどで、その届け先は劇的に多様化しました。

もともとプレスリリースは、メディアに情報を発信する手段という側面が強く、商習慣としてもそのように認識されていました。しかし、特にコロナ禍以降、「生活者に直接届ける」「AIに参照される」という意識が、肌感覚としても非常に高まっています。これにより、マーケティング側面での活用も著しく増加しました。

最近では「AIO(AI Optimization)」という言葉も、特に昨年末頃から盛んに聞かれるようになりました。当社のお客さまからも「AIに参照されるにはどうしたらいいか」「AIの回答に表示させたい」といったお問い合わせが明らかに増えています。情...

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ストーリーをつむぐメディアリレーション

企業が社会と向き合ううえで、メディアとの関係は今も重要な接点のひとつです。しかし、メディア環境が大きく変化するなかで、単に取材を獲得することだけでは、広報活動の価値を十分に捉えることはできなくなりつつあります。ニュースはどのように生まれ、どのような文脈の中で記事として形づくられていくのでしょうか。企業が発信する情報と、メディアが伝えるストーリー。その接点にあるのがメディアリレーションです。広報活動において、取材の実現は大切な成果です。しかし、それはゴールではありません。露出に至るまでの情報設計、記事化の過程、そして露出の後に続く関係。こうした一連のコミュニケーションの積み重ねが、企業と社会の関係を形づくっていきます。そこで本特集では、「ストーリーをつむぐ メディアリレーション」をテーマに、寄稿やインタビュー、事例を通して、メディアとの関係をコミュニケーション全体のプロセスとして捉える視点を提示します。

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