人的資本経営の中核指標であるエンゲージメントを「仕事・職場・会社」の3軸で捉え直し、女性活躍・若手定着・ミドル層活性化という具体的な組織課題と紐づけながら、測定から施策・経営判断までの実践的な活用法を解説します。
今回は、「職場へのエンゲージメント」をテーマに、新人・若手社員の定着という観点から考えていきます。近年、若手社員の早期離職は多くの企業に共通する課題となっています。その背景には何があり、企業はどのような対応を取るべきなのでしょうか。
「人とのつながり」求める
厚生労働省の調査(「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」、2025年)によると、新規大卒就職者の3年以内離職率は33.8%となっています。また、近年の新入社員調査(リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2025」、2025年)でも、「現在の会社に勤め続けることにこだわらない」と考える若手は少なくありません。
こうした状況を見ると、「若手は組織への帰属意識が弱い」「ドライな世代だ」と語られることがあります。しかし、必ずしもそうとは言い切れません。
同調査を見ると、就職先を選ぶ際に最も重視されている項目のひとつが、「働いている人が魅力的であること」「職場の人間関係が良いこと」です。給与や福利厚生だけでなく、「誰と働くか」が重視されているのです。
実際、多くの若手は非常に真面目です。仕事に対する意欲がないわけではなく、むしろ成長したいという思いを持っています。ただ一方で、「どこまで踏み込んでよいのか分からない」「どのように相談すればよいのか分からない」と戸惑う場面も少なくありません。
こうした状況の中で重要になるのが、「職場へのエンゲージメント」です。上司や同僚との関係性、自分がチームの一員であるという感覚、そして組織への貢献実感。これらが若手の定着に大きく影響しています。
孤立を生む3つの要因
では、なぜ若手は職場とのつながりを感じにくくなっているのでしょうか。
1つ目は、関係性の希薄化です。
コロナ禍を経てリモートワークが普及し、働き方は大きく変化しました。以前であれば、隣の席の先輩に気軽に質問したり、会議後に雑談したりする機会が自然に存在していました...

