企業や自治体にとって、キャラクターは単なる“マスコット”ではなく、ブランドの世界観を体現し、人々に親しみをもって受け入れられるための重要な資産となる。なかでも、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は、その象徴的な存在だ。発表当初は賛否を呼びつつも、今や多くのファンを獲得し、関連グッズやコラボ展開を通じて高い話題性と販促効果を生み出している。なぜ「ミャクミャク」はここまで愛される存在になったのか。その背景について、キャラクターマーケティングを専門とする大妻女子大学の野澤智行氏が解説する。
独特のキャラクター性が注目 そもそも「ミャクミャク」って?
「ミャクミャク」は、2025年大阪・関西万博の公式キャラクターです。1898点にのぼる、一般公募作品の中から、デザイナーであり絵本作家でもある山下浩平さんのデザインが採用され、2022年3月に発表されました。
万博公式サイトによると「2020年8月に発表されたロゴマークを、そのままキャラクターとして具現化できないか」というアイデアから誕生したといいます。もともとのロゴマークが放つ“なんだこれは!”という強烈な印象と注目度を活かしつつ、キャラクターとしての普遍的な愛らしさを兼ね備えることを目指してデザインされました。
丸みを帯びた体形がもたらす親しみやすさ、尻尾にまで目玉をつけるという意外性、さらにぬいぐるみや着ぐるみとして立体化しやすい造形バランスなど、複数の要素が融合し、「ミャクミャク」のユニークな個性をかたちづくっています。...


