AIが提供できない情報を狙い、最後の納得を促す 自社アプリは“売り場で手放せないパートナー”に

公開日:2026年1月30日

  • 飯島拓海氏(博報堂)

2025年の消費者の購買行動を振り返り、博報堂買物研究所の副所長・飯島拓海氏は、買い物が「人間だけの意思決定」ではなくなり、AIやアプリが購買の意思決定に深く入り込む局面が来ていると見ている。重要なのは、変化を“点”で捉えず、生活者の「納得」「時短」「安心」「発見」を同時に満たす売り場へ再設計することだという。

この1年で最も象徴的だった変化は、「AIと話してから買いに来る」ショッパーが現実に増え始めたことです。メーカーや小売業が対峙するショッパーは、人間だけでなくAIにも拡張し始めています。海外ではAIエージェントが決済を担う技術をはじめ、エージェンティックコマースに注目が集まっています。日本でも、2025年の博報堂買物研究所(以下、買物研)による調査では、生成AIのプライベート利用が26%で、そのうち買い物用途が8%という結果に。数字だけ見るとまだ小さく見えますが、“兆し”としては十分に大きいです。なぜなら、ここから先は「自分が買う理由を固める相棒」としてAIが使われ始めると考えられるためです。これを受け、買物研は新購買行動モデル「DREAM」を提唱しています(図1)。

図1 博報堂買物研究所が提唱する「AIエージェントと共に暮らす時代の購買行動モデル」...

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この記事が含まれる特集

ショッパーインサイト大予測 2026

購買の場におけるデジタル化が加速し、データとして蓄積できるようになったことにより、「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ買ったのか」を具体的な時間軸で振り返ることが可能になりつつあります。アプリやEC、リテールメディアなどのデジタル接点を通じて、これまでは見えなかった購買の周りで起きている行動が可視化され、買われるまでのプロセスの実態を捉えられるようになってきたためです。 とはいえ、すべてがわかるようになったわけではありません。データはあくまで行動の結果であり、ショッパーの気持ちそのものを完全に捉えるものではないからです。カテゴリーや業態によって、見える範囲に差があることも事実でしょう。 それでも、立場や視点の異なる知見を重ねていけば、いくつかの共通点が浮かび上がってくるはずです。導き出された共通点は、ひとつの仮説になり、これまで勘や経験、感覚に頼ってきた売り場づくりや販促施策の判断を確かなものに近づけてくれるのではないでしょうか。 そこで本特集では、広告会社や調査会社に直近1年で見え始めた「買われ方の変化」を聞きました。その変化をもとに、2026年のショッパー(買い物客)のインサイトを予測し、売り場で準備することをまとめています。さらにメーカーの視点からも、変化をどのように捉え、何を見て販促のアプローチを判断しているかを探りました。過去をどう読み解くかが、次の一手を左右する。2026年の買い物客は、売り場でどんな行動をとるのでしょうか。

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