購買行動が多様化し、販促手段が増え続ける今、現場では「とにかく手を打つこと」自体が目的化していないでしょうか。施策の精度は高まり、“売るための仕掛け”としての販促は成熟した一方で、その多くは一過性の成果にとどまり、「買いたい」瞬間は生んでも「買い続けたい」関係へとつながりにくい現実があります。さらにモノや情報が過剰になり、人口減少が進む現在、求められるのは一度の購買で終わらせない“買い続けたくなる販促”です。本記事では、販促の最前線を知るプロ3名が、今の販促が抱える課題とこれからのあるべき姿について語り合いました。
編集協力:スコープ
電通プロモーションプラス
CXデザイン室 プランナー
小山貢弘氏
スコープ
販促創造研究所 所長
多田みゆき氏
博報堂
マーケティングプラニングディレクター
生島 岳氏
「手段」が「目的」化していないか 利便性の裏で生じた弊害とは
─皆さんは販促の「今」とその課題感についてどう考えていますか。
小山:私が感じているのは、プライスプロモーションが“あまりにも簡単に実行できるようになった”ことで弊害も起きるようになってきたな、ということです。インセンティブ付与の効率化や利便性が進む一方で、その裏側では新たな課題も確実に...
