LINEマンガのオリジナルウェブトゥーン『喧嘩独学』が、ウェブトゥーンを原作とする日本初のNetflixシリーズとして実写化された。物語の主人公は、貧困と学校でのいじめに苦しむ気弱な高校生・志村光太。ある喧嘩の動画が偶然配信されて注目を集めたことをきっかけに、光太は生活を変えるため、「喧嘩独学」というチャンネルを開設し、動画配信を始める。喧嘩の仕方を教える秘密のチャンネルを手がかりに強くなり、次々と強敵へ立ち向かっていく物語だ。
企画制作を担ったミリアゴンスタジオ、原作元のLINEマンガ、世界配信を担うNetflixは、長期連載のウェブトゥーンをどのように全6話の実写シリーズへと翻訳していったのか。
LINE Digital Frontier
IP Business室
Rights Management
前田真希氏
Netflix
コンテンツ部門マネージャー
プロデューサー
福井雄太氏
ミリアゴンスタジオ
プロデュース事業部
プロデューサー
稲葉直人氏
「映画の工程」で連続ドラマをつくる、Netflixシリーズの制作環境
──『喧嘩独学』の実写化は、どのように動き始めたのでしょうか。
稲葉:2年半ほど前に、LINEマンガさんへ「実写化させていただけないでしょうか」とご提案したことが始まりです。僕にとって『喧嘩独学』は、初めて読んだウェブトゥーンでした。
友人に「めちゃくちゃ面白い」と勧められて読み始めたのですが、読む手が本当に止まらなかったんです。子どもの頃に読んだ少年マンガに描かれていた“青春”のような、男の子心をくすぐるポイントをしっかり押さえているなというのが、最初の感想でした。
近年のマンガには、王道を少し外すことに美学を置く作品も多い中で、この『喧嘩独学』という作品は王道の面白さをど真ん中で突き詰めていると感じます。登場するキャラクターもすごくいい。実写化できるかどうかより先に、単純に「面白いから、(実写化)やりたい」と思いました。
そこから半年ほどかけて、プロットや第1話、第2話の脚本などを準備し、「こういう実写シリーズにしたい」という形でLINEマンガさんへお伝えしました。その後、Netflixさんへ企画をご提案し、今作のプロデューサーである福井さんに「一緒にやろう」と言っていただいて、チームとして動き始めました。
前田:お声がけいただいた当時、『喧嘩独学』ではアニメ化の話も進んでいました。原作を起点に、アニメ、そして実写化と異なる表現で読者に楽しんでもらえることは、原作側としてもうれしい流れでした。
一方で、原作は長期連載であり、話数は218にものぼります。今回の実写シリーズは全6回で構成されているように、限られた話数で物語をつくる必要があったんです。どのように再構成していただけるのかは、楽しみであると同時に、慎重に確認したい点でもありました。作家さんには事前にプロットをお見せし、作品としてどのような方向を目指すのか、丁寧にご理解いただくことを意識していました。
──企画から配信まで、約2年半かかっています。この期間をどう見ていますか。
稲葉:長いかどうかでいうと、長いです(笑)。ただ、僕は映画と地上波ドラマの製作の両方を経験してきましたが、今回は映画の工程で、贅沢に連続ドラマをつくるような感覚でした。
映画は企画立案から2、3年かかることもあります。一方、地上波ドラマでは予算やスピード感も含めて、プリプロダクションにもポストプロダクションにも、ここまで時間をかけることはなかなか難しい。Netflixさんの環境では、クオリティを上げるために、撮影前にも撮影後にも十分な時間を取ることができました。考える時間があるのは、制作者としてすごく贅沢です。
福井:2年半という期間だけ...

