ターゲティングの罠・企業の「正解」に「炎上」の原因がある ─『このごにおよんで愛など』が描く、ステレオタイプの危険性─

公開日:2026年10月13日

  • 東 紗友美

映画の物語や演出には、販促に通じる発想がある。人が惹かれる理由、動くきっかけ、広がる仕掛けをマーケティング視点でひもとく。名作や話題作を題材に、実務に役立つ企画やコミュニケーションのヒントを探る。

今月の映画

『このごにおよんで愛など』

このごにおよんで愛など
11月27 日(金)公開
配給:K2 Pictures
©2026 K2 Pictures

あらすじ

結婚3年目の絵本作家・小島詩と夫の杜夫。詩は夫の「子どもをつくらない?」という提案をはぐらかし、担当編集者の倉持潤奈と不貞関係を続けていた。2人から選択を迫られるも選べない詩は、「3人で子どもをつくるのはどうかな?」と突拍子もない提案をする。戸惑う杜夫と潤奈だったが、3人の共同生活の中で関係は次第に変化し、ついに潤奈の妊娠が発覚する。愛する人と共に生きることに迷い悩む、多様な愛の物語。

マーケティングの現場において、ターゲット像を明確にしておくことは基本中の基本です。しかし、生活における価値観の多様化が叫ばれる現代において、例えば「30代既婚、子どもは1人」といった旧来のステレオタイプなペルソナ設定は、もはや生活者のリアルな実態を捉えきれていないのではないでしょうか。私たちが「当たり前」と信じ込んでいるルールの外側に、実は無数の感情と消費の種が眠っています。

今回取り上げる映画『このごにおよんで愛など』は、「わがままで、ずるくて、だけど愛おしい」主人公と、彼女に振り回される2人の人物が織りなす...

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