森永製菓は2025年3月、同社が提供する各サービスを共通IDで利用できる「MORINAGA ID」を開始した。これまで分断されていた顧客接点を統合し、利便性と体験価値を両立させながら、長期的な関係づくりの基盤を築く取り組みだ。本記事では、その狙いについて、同社ダイレクトマーケティング事業部 ダイレクトストアグループ 広告EC担当 主任の中山光流氏に話を聞いた。
2025年3月、森永製菓は共通IDサービス「MORINAGA ID」を立ち上げた。現在はオンラインストア「森永ダイレクトストア」とファンサイト「エンゼルPLUS」で利用が可能となっており、今後は「MORINAGA ID」を活用してサービス間の連携強化を図っていく構想だ。
同社が新たな顧客基盤づくりに踏み出した背景には、「顧客接点の分断」という課題があったと、同社ダイレクトマーケティング事業部の中山光流氏は話す。というのも、同社はこれまでは部署ごとに会員管理を行っていたため、顧客データが分散し、生活者を全社的に理解する仕組みが存在しなかった。その結果、1to1の対応やファン育成は個別最適にとどまり、全社を横断したCRM戦略には至っていなかったという。「これまでの当社は、ファンサイトとオンラインストアを別々に運営しており、会員データも分断されていました。結果的に顧客理解が十分に進まず、全社視点での戦略を描くことができなかったのです。そんな中でMORINAGA IDは、その課題を解決する、“全社視点でお客さまと向き合っていくための第一歩”だと位置付けて...

