かつて「暗くて人通りも少ない」と敬遠されがちだった鉄道の高架下空間が、今、大きく生まれ変わりつつあります。無機質だったその場所には、今ではカフェや隠れ家的な飲食店、アートギャラリー、イベントスペースなどが立ち並び、街に新たな魅力をもたらす存在になりました。SNSで話題となり、やがて「わざわざ足を運びたくなる場所」へと変貌を遂げているのです。
こうした変化の背景には、鉄道会社や地域の街づくりの担い手による空間設計の工夫があるはずです。そこで今回は、盛り上がりを見せる高架下ビジネスの現在地を紹介。「通り道」だった場所を「目的地」へと変える体験設計や販促手法に迫りました。高架下という“都市の余白”が、どのようにして街の価値を高めているのでしょうか。そんな今回の特集のテーマは「いま高架下が人を惹きつける理由」です。
高架下活用に拍車をかけた人口減少とコロナ
そもそも、かつては「暗い」「騒がしい」「ただの通過地点」とされていた鉄道の高架下が、いま地域の価値を生む場として再評価されている理由とは一体何でしょうか。まず、40年以上にわたり...
