顧客体験が「サラダチキン」になっていないか? ――映画『チルド』が暴く、無意識の消費と“熱”のマネジメントー

公開日:2026年7月14日

  • 東紗友美

映画の物語や演出には、販促に通じる発想がある。人が惹かれる理由、動くきっかけ、広がる仕掛けをマーケティング視点でひもとく。名作や話題作を題材に、実務に役立つ企画やコミュニケーションのヒントを探る。

今月の映画

『チルド』
公開日:7月17日(金)よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ほか全国で公開
配給:NOTHING NEW
© 『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

あらすじ

舞台は都内のコンビニ「エニーマート」。日々を無感動に生きる副店長の堺の職場に、美容師を夢見る前向きな新人アルバイト・小河が入社する。しかし、彼女は次第に店を支配する異様な秩序と閉塞感に飲み込まれていく。「秩序」に異常な執着を持つオーナーの狂気はやがて、システムに抗う小河を抹殺してしまう。逃げ場のないコンビニで日常が崩壊する中、堺はこの終わらない地獄から抜け出せるのか?

人手不足の問題が色濃くなる今、自社の商品展開や販促、あるいは店舗運営においても「効率性」と「利便性」を強く求めるようになった。

生活者にとってストレスのない滑らかな顧客体験を設計し、誰もが同じクオリティを提供できるようマニュアルを完備する。しかし、すべてを均質化し、摩擦をなくして最短距離で成果を出そうとするあまり、結果としてブランドと生活者の間から「熱狂」や「愛着」が消えてしまった……なんてことはないだろうか?

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