街の階段や電柱、ベンチ……。私たちが普段見過ごしているような場所が、ある日突然“広告枠”として利用されている。あるいは、一見すると広告とは思えないような仕掛けが、実は巧妙に設計された広告だった……。こうした、従来の枠にとらわれない手法こそが、OOHやアンビエントメディアの醍醐味です。
デジタル広告に接触することが生活者の日常になり、消費者が広告を回避する傾向も強まっています。そんな中で広告は、いかに生活者の視界に自然に入り込み、思わず足を止めさせるかどうかが重要な視点となりました。このような“自然な広告コミュニケーション”を実現するひとつの選択肢になるのが、OOHやアンビエントといったメディアです。本特集では、記憶に残る仕掛けを生み出すプロの実践や、OOH・アンビエントメディアの最新事例を紹介。広告が家の外で生活者とどうつながり、どのように情報や体験を届けているのかを紐解きました。
広告が「押し付け」から「出会い」へと変わる ターゲティングしないOOHの強みとは
OOHの価値がなぜここまで見直されているのか。その背景には、OOHが持つ独自のメディア特性と、アンビエント広告による空間の再設計という、2つの視点が見えてきました。まず、サントリーホールディングス宣伝部の岡田大輝氏は、OOHの本質的な価値は、①ターゲティングできない強み②同時多発的な接触③嫌われにくさの3点だと話します(記事はこちら)。
そもそもOOHは、あらかじめ特定の属性や嗜好を持つ人々に届けるデジタル広告とは異なり、不特定多数の人に対して、同時にメッセージを届けることができます。これは、個人に情報が最適化されすぎている現代において...
